モラルハラスメント(モラハラ)とは、言葉や態度などによって、相手方を傷つける、精神的な虐待・精神的な暴力のことをいいます。

近年、モラハラが原因で離婚を希望する方が増えています。
その一方で、モラハラにお悩みの方は、離婚について弁護士に相談すべきか、躊躇する方が多いように見受けられます。

そこで、今回は、モラハラによる離婚は弁護士に相談すべきか、解説させていただきます。

1 弁護士に相談すべきモラハラのケースとは?

(1)モラハラの被害を受けているか明確に認識していないものの、配偶者の言動に苦痛を感じ、離婚を考えている方

モラハラの加害者は、常にひどい言葉を発してくるわけではなく、優しい言葉を発してくるときもあるため、モラハラの被害がわかりにくいことが多いです。
また、モラハラというのは、一度の言動でなされるものではなく、日常生活の中で、繰り返し行われるため、モラハラの被害者は、精神的に弱ってしまい、“自分が悪いから、ひどい言動がされる”という心理状況に陥ってしまうこともあります。
このようなことから、モラハラの被害者であるにもかかわらず、自身がモラハラを受けているという認識を持てていない方が、多いように見受けられます。

家庭内で、モラハラがあったとしても、周囲に気づかれにくいことが多いように思います。
モラハラをする人は、見た目がとても穏やかな人である場合も多く、周囲に対しては、“いい人”を演じていることにより、周囲の方に相談してもなかなか理解してもらえないこともあります。

弁護士であれば、専門的な知識を有しており、また、職業上守秘義務を負っているので、相談内容が他に漏れる心配もありません。

そのため、ご自身がモラハラの被害を受けているという認識を持っていないとしても、配偶者の言動によって精神的な苦痛を感じている場合、モラハラの被害を受けている可能性があるため、一度弁護士に相談すべきでしょう。

(2)現在モラハラの被害を受けていると認識し、苦痛を感じている方

心の傷は、身体に加えられた暴力による怪我と比べ、第三者からは認識しづらいです。
そのため、モラハラは、身体に対する直接危害が加えられるDVと比べて軽視されることも少なくありません。
もっとも、心の傷は、肉体の怪我に比べて決して軽いものではなく、心が弱ってしまうと、日常生活はおろか、生きていくこと自体苦痛になってしまいかねず、重大な結果につながりかねません。

モラハラの加害者というのは、自分の非を認めない傾向があり、急に怒り出すこともあるため、離婚を切り出しても、暴言を吐き、離婚を拒否してくることもありますし、不当な離婚条件を突き付けてくることも多いです。

そのため、モラハラの加害者と離婚をするためには、計画を立てて対応していく必要があります。
そして、適切な計画を立てていくためには、それぞれのご家庭のご事情も踏まえる必要があります。

以上より、ご自身の心を守りつつ、モラハラの加害者との離婚を適切に進めていくためには、モラハラが原因での離婚事件を対応したことのある弁護士に、相談して進めていくべきでしょう。

(3)モラハラの加害者であり、離婚を検討している方

モラハラの加害者の方であっても、配偶者や周囲の方からモラハラを指摘されるなどして自身のモラハラを自覚し、これにお悩みになられる方もいらっしゃいます。

適切な条件で離婚する必要があるのは当然のことですが、お子さんがいらっしゃる家庭ですと、今後お子さんとの面会交流が適切に実現されるようにする必要があります。
当然、お子さんとの面会交流を実現するにあたっては、親の子に対する言動が与える影響が大きいことを認識し、カウンセリングを受けるなどお子さんに対するモラハラをしてしまわないように対策をとっていくことも大切であると言えるでしょう。

そのため、モラハラの加害者の方の場合でも、適切な離婚条件で離婚し、今後モラハラをしてしまわないようにするために、専門的な知識を有する弁護士に相談すべきであるといえるでしょう。

2 モラハラ離婚を弁護士に相談すべき理由

(1)離婚に関して、正しい法律知識や経験に基づいたアドバイスを受けることができる

離婚問題に関しては、弁護士の他にも、行政書士や司法書士、離婚カウンセラーなど、様々な業種の方が相談を受け付けています。

離婚の相談を受けるにあたって、単にお悩みを聞くだけであれば、誰でも聞くことができます。
もっとも、離婚は法律的な問題が関わるものであるため、単にお悩みを聞くだけではなく解決に向けた相談を受ける場合には、“法律相談”に該当します。
基本的に、法律相談業務は、弁護士以外は受けることができず、弁護士以外が、法律相談を受けることは、いわゆる“非弁行為(ひべんこうい)”にあたり、法律違反となります。

また、離婚に関する諸問題(離婚できるか否か、親権、養育費、財産分与、慰謝料など)に関して、適切な見通しを伝えるためには、正しい法律知識や裁判例に関する知識が不可欠です。
このような専門知識を有するのが弁護士です。

そのため、モラハラ離婚を含め、適切に離婚問題を解決していきたいと考える場合には、弁護士に相談すべきであるといえるでしょう。

(2)単に相談だけではなく、話し合いや裁判所の手続の窓口になって対応できる

第三者に、モラハラや離婚に関する相談をすること自体、心理的な抵抗があることですし、複数の相談先に話すのは、それだけでも非常に疲れてしまうのではないでしょうか。

弁護士は、法律相談だけでなく、相手方との交渉の窓口となる代理業務、法的な書類の作成、裁判所の調停手続や裁判手続の代理人となることができます。
そして、このような業務をすべて行うことができるのは、弁護士だけです。

そのため、単にモラハラや離婚について相談するだけではなく、適切に離婚問題を解決していくために、弁護士に交渉の窓口や調停手続などを依頼することも見据えた場合、最初から弁護士に相談すれば、何度も自身の離婚問題に関するお話しをするストレスを抱える必要は軽減されるといえるでしょう。

実際、モラハラが問題となるような事案では、当事者間での話し合いがうまくいかず、相談だけでなく、相手方と交渉等することのストレスから解放されるためにご依頼いただくことも多いです。

3 モラハラ離婚に強い弁護士の探し方

近年は、インターネットが発達していることから、インターネットにより、モラハラを原因とする離婚に強い弁護士を検索するのがよいと思います。

そして、民間業者が運営しているポータルサイトより、各法律事務所のホームページを見ていただくのが、その法律事務所や弁護士の特色がわかりやすいでしょう。

ここで、各法律事務所のホームページを見るにあたっては、以下の点に着目していただくのがよいでしょう。
・離婚に関する専門のホームページが開設されているか
・ホームページ内でモラハラに関する記事が充実しているか否か
・過去の解決してきた事例にモラハラの事案が掲載されているか

4 モラハラによる離婚に関するお悩みは弁護士にご相談ください

当事務所では、モラハラによる離婚に関する事件も数多くご相談・ご依頼をお受けし、解決してきた実績があります。

法律事務所にお越しいただくということ自体、敷居が高いとお感じになられる方も多いかもしれませんが、モラハラや離婚問題にお悩みでこの記事を読んでくださっている方の一助になれば幸いです。

そして、モラハラや離婚問題に関してお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所の弁護士にご相談いただければと存じます。

(弁護士・畠山賢次)

ご相談のご予約

当事務所の弁護士が書いたコラムです。ぜひご覧ください。

No 年月日 コラム
39 R7.6.9 共同親権とは?開始時期やメリット・デメリットについて弁護士が解説(弁護士・下山慧)
38 R7.5.13 モラハラによる離婚は弁護士に相談すべき?弁護士が解説(弁護士・畠山賢次)
37 R6.9.30 モラハラ夫との離婚後のトラブルを防ぐためのポイント(弁護士・神琢磨)
36 R6.9.4 離婚する専業主婦の年金分割について(弁護士・下山慧)
35 R6.4.1 住宅を任意売却する場合のタイミングは?(離婚前?離婚後?)(弁護士・下山慧)
34 R6.2.21 養育費が支払われなくなったときの対応(弁護士・畠山賢次)
33 R5.8.7 モラハラの冤罪・偽装・でっち上げへの対処法(弁護士・木村哲也)
32 R5.6.27 「子どもを考えるプログラム」について(弁護士・木村哲也)
31 R5.4.11 モラハラの被害に遭われた方へ(弁護士・木村哲也)
30 R4.12.6 配偶者からの誹謗中傷への対処(弁護士・畠山賢次)
29 R4.10.18 離婚における公正証書作成のポイントを弁護士が解説(弁護士・山口龍介)
28 R4.10.6 別居中に配偶者や弁護士から連絡が来た場合の対処法(弁護士・荒居憲人)
27 R4.8.16 DV冤罪・偽装DV・でっち上げDVへの対応方法と予防策(弁護士・木村哲也)
26 R4.8.10 「妻は夫に無断で子どもを連れて黙って家を出れば、子どもの親権を取ることができる」は本当なのか?(弁護士・木村哲也)
25 R4.7.1 多産DVとは?妻ができる解決方法と相談窓口について(弁護士・荒居憲人)
24 R4.2.17 青森市に「青森シティ法律事務所」を開設しました。(弁護士・木村哲也)
23 R3.1.21 親権者変更が認められる類型と手続(弁護士・木村哲也)
22 R3.1.18 離婚・別居時の夫婦間の子どもの奪い合いトラブルの解決手続(弁護士・木村哲也)
21 R2.5.11 LINEでのビデオ通話による法律相談対応を開始しました。(弁護士・木村哲也)
20 R2.3.5 婚姻費用分担の審判を家庭裁判所に申し立て、その審理中に離婚が成立した場合であっても、婚姻費用分担の請求権は消滅しないとの最高裁判所の判断が示されました。(弁護士・畠山賢次)
19 R2.1.21 養育費・婚姻費用の算定表が改訂されました。(弁護士・畠山賢次)
18 H31.4.23 バックアッププランのご案内(弁護士・木村哲也)
17 H30.9.18 DVの被害に遭われた方へ(弁護士・木村哲也)
16 H29.10.31 不倫慰謝料問題に特化した専門サイトを開設しました。(弁護士・木村哲也)
15 H29.10.11 小さいお子様をお連れの方も、安心して当事務所をご利用ください。(キッズスペースのご案内)(弁護士・木村哲也)
14 H29.8.4 面会交流への寛容性は、親権者判断にどの程度影響してくるのか?親権が争われた裁判で、父親が逆転敗訴した事件から見える親権者判断の現状。(弁護士・山口龍介)
13 H29.6.12 離婚調停を弁護士に依頼するメリット②(弁護士・山口龍介)
12 H29.6.7 離婚調停を弁護士に依頼するメリット①(弁護士・山口龍介)
11 H28.9.28 長期間別居している方の離婚について(弁護士・木村哲也)
10 H28.1.6 相談料は初回無料です。お気軽にご相談ください。(弁護士・木村哲也)
9 H27.6.1 産後クライシスについて(弁護士・山口龍介)
8 H27.5.20 不倫・浮気のケースにおける秘密録音のポイント(弁護士・木村哲也)
7 H27.5.13 録音した音声は訴訟(裁判)で証拠として使えるか?(弁護士・木村哲也)
6 H27.4.1 子どもとの面会交流を諦めていませんか?(弁護士・木村哲也)
5 H27.4.1 不倫・浮気の証拠となるメールを発見したときの対処法(弁護士・木村哲也)
4 H27.3.10 婚姻費用の分担請求をご存知ですか?(弁護士・山口龍介)
3 H27.3.10 裁判官は実際のところどうやって親権を決めるの?(弁護士・山口龍介)
2 H27.3.10 親権者と監護権者を分けるという考え方は基本的に誤りです。(弁護士・木村哲也)
1 H27.3.10 親権者を決める際は慎重に(弁護士・木村哲也)