弁護士山口龍介

離婚に関するご相談の中で、離婚調停をするときは弁護士を頼んだ方が良いですか、弁護士を頼まずに自分で離婚調停をするのは難しいですか、というご質問を受けることがあります。
ここでは、離婚調停を弁護士に依頼するメリットについてお話いたします。

離婚調停では、あなたと相手方が直接話し合うのではなく、調停委員が間に入って、それぞれの言い分を交互に聞きながら話し合いを進めていきます。
まずは調停委員が一方から話を聞いて、次に調停委員が他方からも話を聞いて、他方から出た話を踏まえて、さらに一方と調停委員が話をする・・・という形で、調停が進行していくのです。

そのため、あなたの希望する内容での解決を目指すならば、調停委員に、あなたの考えを正しく理解してもらえるように話し、調停委員から相手方を説得してもらうことが大切となります。
調停委員の理解を得られなければ、調停委員から相手方を説得してもらうことは期待できません。
調停委員が相手方の話ばかりを信じる、調停委員が相手方の言いなりだと感じてご相談に訪れる方もいらっしゃいます。

また、調停委員はあくまで中立の立場ですので、どんなことでも相談できるとは限りませんし、不用意に整理されていない事情を話して、かえって不利に受け取られる可能性もないとは言えません。

この点、弁護士を付けていれば、事前に相談をして、頭を整理して調停に臨むことができます。
また、調停の場に弁護士が同席していれば、ご自身の説明に加えて、弁護士からも、離婚調停で重視される事情を法的観点から説明することができます。

そして、離婚調停は裁判所で行われますが、あくまで話し合いの場なので、相手方が強硬なケースなどでは、本来ならば認められるべき内容とはかけ離れた条件(調停条項)での合意を勧められることがあります。

そんなときでも、離婚問題に精通した弁護士が付いていれば、法的なラインと蓄積された経験を踏まえて、調停委員に対して適切な反論や説得を行うことで、適正な内容での解決を図ることが期待できます。

ご自身で裁判所にしっかりと考えを説明できるか不安な方、逆に言わなくてもいいことまで言ってしまって誤解を招くおそれがあると心配な方、相手方の口が上手いため、調停委員が相手方の言うことを鵜呑みにしないか不安を感じていらっしゃる方などは、弁護士に依頼することをお勧めします。

また、調停での適切な解決を図るうえでも、離婚問題で不安定になっている心を落ち着けるうえでも、ご自身だけで悩まないことが非常に大事です。

離婚調停を行うとなると、分からないこと、不安なこと、準備しなければいけないことで頭がいっぱいになってしまうものです。
日常の仕事、家事、育児に加え、離婚調停の準備をしなければならないことの精神的負担は、予想以上に大きいものになります。

こうした離婚調停を行ううえで、弁護士を付ければ、分からないことは聞き、不安なことは相談し、面倒な諸手続のサポートを受けることによって、精神的にも余裕も持つことができるようになります。

ご自身だけでは不安な方、ずっと離婚調停のことを考えてしまって辛い方、忙しくて準備に時間をかけられない方、子どものために時間を有意義に使いたい方などは、弁護士に依頼することをお勧めします。

離婚調停を弁護士に依頼するメリットは、まだあります。次回は、書類作成や、調停後を見すえたときのメリットについてお話いたします。

(弁護士・山口龍介)

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当事務所の弁護士が書いたコラムです。ぜひご覧ください。

No 年月日 コラム
1 H27.3.10 親権者を決める際は慎重に(弁護士・木村哲也)
2 H27.3.10 親権者と監護権者を分けるという考え方は基本的に誤りです。(弁護士・木村哲也)
3 H27.3.10 裁判官は実際のところどうやって親権を決めるの?(弁護士・山口龍介)
4 H27.3.10 婚姻費用の分担請求をご存知ですか?(弁護士・山口龍介)
5 H27.4.1 不倫・浮気の証拠となるメールを発見したときの対処法(弁護士・木村哲也)
6 H27.4.1 子どもとの面会交流を諦めていませんか?(弁護士・木村哲也)
7 H27.5.13 録音した音声は訴訟(裁判)で証拠として使えるか?(弁護士・木村哲也)
8 H27.5.20 不倫・浮気のケースにおける秘密録音のポイント(弁護士・木村哲也)
9 H27.6.1 産後クライシスについて(弁護士・山口龍介)
10 H28.1.6 相談料は初回無料です。お気軽にご相談ください。(弁護士・木村哲也)
11 H28.9.28 長期間別居している方の離婚について(弁護士・木村哲也)
12 H29.6.7 離婚調停を弁護士に依頼するメリット①(弁護士・山口龍介)
13 H29.6.12 離婚調停を弁護士に依頼するメリット②(弁護士・山口龍介)
14 H29.8.4 面会交流への寛容性は、親権者判断にどの程度影響してくるのか?親権が争われた裁判で、父親が逆転敗訴した事件から見える親権者判断の現状。(弁護士・山口龍介)
15 H29.10.11 小さいお子様をお連れの方も、安心して当事務所をご利用ください。(キッズスペースのご案内)(弁護士・木村哲也)
16 H29.10.31 不倫慰謝料問題に特化した専門サイトを開設しました。(弁護士・木村哲也)
17 H30.9.18 DVの被害に遭われた方へ(弁護士・木村哲也)
18 H31.4.23 バックアッププランのご案内(弁護士・木村哲也)
19 R2.1.21 養育費・婚姻費用の算定表が改訂されました。(弁護士・畠山賢次)
20 R2.3.5 婚姻費用分担の審判を家庭裁判所に申し立て、その審理中に離婚が成立した場合であっても、婚姻費用分担の請求権は消滅しないとの最高裁判所の判断が示されました。(弁護士・畠山賢次)
21 R2.5.11 LINEでのビデオ通話による法律相談対応を開始しました。(弁護士・木村哲也)
22 R3.1.18 離婚・別居時の夫婦間の子どもの奪い合いトラブルの解決手続(弁護士・木村哲也)
23 R3.1.21 親権者変更が認められる類型と手続(弁護士・木村哲也)
24 R4.2.17 青森市に「青森シティ法律事務所」を開設しました。(弁護士・木村哲也)
25 R4.7.1 多産DVとは?妻ができる解決方法と相談窓口について(弁護士・荒居憲人)
26 R4.8.10 「妻は夫に無断で子どもを連れて黙って家を出れば、子どもの親権を取ることができる」は本当なのか?(弁護士・木村哲也)
27 R4.8.16 DV冤罪・偽装DV・でっち上げDVへの対応方法と予防策(弁護士・木村哲也)
28 R4.10.6 別居中に配偶者や弁護士から連絡が来た場合の対処法(弁護士・荒居憲人)
29 R4.10.18 離婚における公正証書作成のポイントを弁護士が解説(弁護士・山口龍介)
30 R4.12.6 配偶者からの誹謗中傷への対処(弁護士・畠山賢次)
31 R5.4.11 モラハラの被害に遭われた方へ(弁護士・木村哲也)
32 R5.6.27 「子どもを考えるプログラム」について(弁護士・木村哲也)
33 R5.8.7 モラハラの冤罪・偽装・でっち上げへの対処法(弁護士・木村哲也)
34 R6.2.21 養育費が支払われなくなったときの対応(弁護士・畠山賢次)
35 R6.4.1 住宅を任意売却する場合のタイミングは?(離婚前?離婚後?)(弁護士・下山慧)