前回は、離婚調停を弁護士に依頼するメリットについて、主に調停委員との話し合いの面、精神的負担の面からのお話をさせていただきました。
今回は、書類作成や、調停後を見据えたときのメリットについてお話いたします。
いざ、離婚調停を起こすとなると、調停の申立書、裁判所からの照会に対する回答書、事情説明書等を作成し、その他事案に応じた必要書類を漏れなく集めて提出する必要があります。
例えば、相手方が不倫・浮気をした証拠があるような場合には、証拠も提出することになります。
調停を起こしてからも、親権が争いとなる事案では子の監護に関する陳述書の作成、財産分与が争点となっている事案では婚姻関係財産一覧表などの作成が必要になります。
この他にも、事案に応じて、裁判所から書類の作成を求められることがあります。
自分で調停を起こす場合(本人申立てといいます)には、こうした書類を作成して裁判所に提出する作業をすべて自分でやらなければなりません。
しかし、弁護士に離婚調停を依頼すれば、依頼した弁護士にこれらの仕事を任せることができます。
また、離婚調停で話し合いがまとまらず、調停不成立に終わった場合、決着を付けるためには、裁判を行わなければなりません。
離婚の裁判では、法律上の離婚の要件を踏まえて事実関係を整理し、書面にまとめる作業が不可欠となります。
また、相手方が事実関係を認めない場合には、証拠を提出して自身が主張する事実関係を証明する必要があります。
こうした離婚の裁判を自分だけでやり遂げるのは非常に難しいので、弁護士に依頼することを強くお勧めします。
このとき、調停段階から弁護士が付いていれば、話し合いの経緯を把握しているので、スムーズに裁判に移行することができます。
また、弁護士が付いていれば、調停段階から、訴訟でも通用する弁護活動を行うことができます。
調停段階においても、裁判で通用するレベルの書面と、事実関係の裏付けとなる証拠が提出されていた方が、裁判所が状況を把握しやすくなり、話し合いが円滑に運びやすくなります。
気になるのは、実際に、離婚調停に弁護士を付けている方がどのくらいいるかです。
2015年の夫婦関係調整調停における弁護士受任割合は、全事件の43.9%にのぼりました。全体の約半数の調停で、弁護士が付いているということです。
しかも、この割合は年々増えています。
2006年にはこの割合は22.9%でした。2015年に43.9%ですから、10年足らずで、ほぼ2倍になったことになります。
今後も、離婚調停に弁護士が付く割合は増えていくものと思われます。
これは、多くの方が弁護士を付けるメリットを感じていることの現れといえるでしょう。
離婚調停は、裁判所の関与する手続であり、調停で決まった条項は、原則として、後から変えることができません。
調停で失敗しないためにも、離婚調停をお考えの方は、専門家の弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
(弁護士・山口龍介)