1 離婚調停とは

離婚調停とは、家庭裁判所において、離婚、親権、財産分与など離婚に関する事項について、話し合いを行う手続きのことを指します。
ただし、話し合いといっても双方が同席してただただ話し合いをするのではなく、調停員を介して双方の言い分を調整しながら、離婚の成立を目指すものになります。

また、離婚調停には、弁護士を依頼した場合には弁護士を同席させて調停に臨むことができます。

2 離婚調停を自分で進めることはできる?

離婚調停は必ずしも弁護士を同席させなければならないわけではないので、自分一人で調停に参加して進めることは可能です。
実際、弁護士費用を掛けないようにするため、自分一人で調停に臨んでいる方は珍しくありません。

なお、調停に同席させることができるのは弁護士のみですので、弁護士を依頼しない場合には親や子であっても同席できないため、必ず自分一人で調停に対応しなければなりません。

3 弁護士がいないと不利になることはある?

結論としては、弁護士がいないというだけで、不利になることはありません。
ただし、離婚調停は感情面をぶつけての話し合いではなく、原則として、法的な主張や整理が必要になります。

したがって、当然、調停員に対して法的な主張をしなければならず、調停員を通じた相手方からの主張に対しても、法的知識がなければ理解・判断がしづらいという面はあるでしょう。

4 離婚調停を自分で進める際の流れ

(1)調停の申立て

自分で離婚調停を進めるには、まずは自分で離婚調停を申立てなければなりません。

離婚調停の申立てに当たっては、最低限、以下の書類を裁判所に提出する必要があります。
・調停申立書
・事情説明書
・子についての事情説明書(未成年者がいる場合のみ)
・連絡先の届出書
・進行に関する照会回答書
・戸籍謄本

そして、これらの書類一式を提出する家庭裁判所は、原則として、相手方の住所地を管轄とする家庭裁判所になります(遠方の場合には郵送での提出も認められます)。
なお、申立てに当たっては、別途収入印紙1200円、郵便切手約1000円(青森家庭裁判所だと870円)の納付が必要になります。

(2)調停の係属

無事、調停の申立てが受理されたら、裁判所から電話連絡があり、そこで第1回調停期日の日程調整を行います。
これが正式に決定すれば、その連絡があるので、あとは当日裁判所に出頭するだけとなります。

なお、相手方に対しては、裁判所の方から調停の呼出状が送付されますので、自分から相手方に対して連絡をする必要はありません。

(3)調停の進み方

具体的な調停当日の進み方としては、調停委員に対して意見を述べる時間はおおむね30分あり、自分の番が終わったら、次に相手方が意見を述べる番、というように、自分と相手方で交互に何回か繰り返して行われます。

なお、1回目の調停で話し合いがまとまることはあまりなく、調停期日は概ね1か月に1回の頻度で行われることになります。
そして、最終的に話し合いがまとまるようであれば調停成立、まとまる見込みがないようであれば調停不成立となり、調停が終了することになります。

5 離婚調停のポイント

(1)家庭裁判所にアドバイスをしてもらう

まずは家庭裁判所に調停の申立てをしなければ何も始まりません。
上述した申立てのために必要な各書類のうち、戸籍謄本以外については裁判所のホームページに書式がありますし、最寄りの家庭裁判所でも取得できます。
そして、これらの書類の書き方については家庭裁判所で教えてくれます。

ただし、家庭裁判所で教えてくれるのは、あくまで申立てに最低限必要な部分の書き方についてだけであり、具体的な言い分などをどのように書くべきか、ということについては、教えてくれません。
また、家庭裁判所は当事者双方に中立の立場であるため、どうすれば親権を獲得できるかなどの法的なアドバイスを受けることは一切できません。

(2)事前に準備してくる

離婚原因や争点になりそうな点というのは、当事者によって様々です。
これに対して、調停委員側としては、調停が始まる前段階では調停申立書等の書類一式の情報しかありません。
その上、上述のとおり、自分の番で調停委員に意見を述べる時間というのも限りがあります。
その一方で、自分の意見を上手く伝えられない、上手くまとめられない場合や、意見を述べているうちに感情面が先走ってしまうといった場合には、なかなか調停員に意見が伝わらないため、説得的な意見ではないと受け止められたり、時間だけがダラダラと経過してしまったりすることもあります。

このようなことから、効率よく調停を進めるために、事前に自分が主張したいことやこれまでの相手方とのやり取りなどを十分にまとめてくるのがよいでしょう。
ただ、これをすべて調停員に口頭で伝え始めると、調停委員も聞き取れなかったり、整理しきれなかったり、何よりも時間が足りなくなることが予想されます。
このような場合には、陳述書という形で自分の意見を書面にまとめ、これを証拠の一部として裁判所に提出し、口頭で伝える内容は、陳述書の中身を抜粋ないし要約したものだけにする、といった方法も有効です。

また、自分の意見を説得的にするために、早めに証拠を提出することも効率よく調停を進める方法の一つです。
例えば、相手方が不倫をしている場合には不倫を裏付ける写真がこれに当たりますし、養育費を求める場合には双方の源泉徴収票など収入を示す資料を提出することで早期に養育費が算定されることに繋がります。

6 離婚調停を自分で進めるリスク

(1)全て自分で行わなければならない

弁護士を依頼しない場合には、当然ですが、調停に関することを自分で全て行わなければなりません。
つまり、調停の申立て、調停への出席・対応、証拠の収集・提出というものを自分で行わなければなりません。

これらの処理については、言うまでもなく、仕事や家事の合間を縫って行うことになりますので相当程度の負担になるでしょう。
そのため、これらを理由に、いつまでも調停の申立てすらできないということもあるでしょう。

(2)法的な主張・整理が困難

いかに事前に準備して調停に臨み、自分の意見を過不足なく述べることができたとしても、調停はあくまで話し合いで進める手続きになります。
つまり、相手方がいる手続きになるので、自分が思った通りに進まないことは珍しくありません。
そのため、相手方からは、自分が準備していなかった、あるいは、予想していなかったことが主張されることはあります。

その場合、法的知識や対応力に欠ける場合には判断が困難です。
実際、自分で進めた方の話を聞くと、相手方だけでなく、調停委員からも、法的根拠に欠ける説明を受けたり、不合理な提案をされたりして、どのように対応すればよいか分からなかったということはよく耳にします。
そして、その結果、不利な条件で離婚をしなくてはならなくなったという話も珍しくありません。

(3)精神的負担が大きい

自分で調停を進める場合には、これらの対応について労力がかかることはもちろんのこと、精神的な負担は計り知れません。
特に、相手方が弁護士を依頼していた場合には、こちらも法的な主張をもって話し合いを進めなければなりませんので、それだけで負担感が多くなるでしょう。

また、離婚調停を申し立てたとしても、事案によっては、必ずしも離婚調停へ対応しさえすればよいとは限りません。
例えば、夫婦に子どもがいて面会交流を実施する場合には、調停の合間に、あるいは、これと並行して面会交流を行うことになるので、その調整も自分で行わなければならず、必然と、相手方との接触の機会が多く、それだけで精神的負担が生じることになるでしょう。

7 離婚調停を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼をするメリットは、一言でいうと、申立てから調停への同席・対応はもとより、調停外での相手方とのやり取りについても窓口になってくれる点にあります。

中でも大きいメリットは、やはり調停への対応の点でしょう。
相手方が弁護士を依頼していようがいまいが、自分は法的な主張を行うことができるとともに、相手方の主張や提案について法的な視点をもって反論や検討をすることができます。
そして、その都度、離婚に向けた主張の整理や方針・戦略を練ることができるとともに、自分の主張を認められやすくするための証拠収集のサポートが期待できます。

また、弁護士が窓口になることで、調停内外の対応はすべて弁護士に一任することができます。
そして、事案にもよりますが、仕事や家事が忙しく調停への出頭が難しい場合であっても、弁護士が出席すればよいだけの場合もあるので、負担感も相当程度軽減されることになります。

このように、弁護士を依頼することで、圧倒的に調停を楽に進められることができるとともに、不利な条件で離婚をしなくてもよいという最高の形で離婚をする結果に繋げることができるでしょう。

8 離婚に関するご相談は当事務所にご相談ください

よく離婚調停に関するサイトを見ると、弁護士を依頼せずに自分だけで対応できるケースといったものが挙げられていることがあります。
しかし、このようなケースは、そもそもわざわざ離婚調停にせずとも、当事者間の話し合いで解決できるケースがほとんどでしょう。
逆に、相手方がどうしても離婚をしたくない旨を主張している場合には、弁護士を依頼しないで離婚をすることはほぼ不可能ですし、そうでなくとも、感情的な対立が大きい場合などには、調停をしてもなかなか離婚がまとめらないことは少なくありません。

当事務所では、これまで離婚に関する多数のご相談・ご依頼実績があります。
ご相談いただくことで、ご自身では見落としていた点や気づいていなかった点なども、弁護士ならではの視点からアドバイスを受けることができると存じます。
離婚調停に限らず、離婚一般についてお悩みの方は、一度当事務所にご相談ください。

(弁護士・下山慧)

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当事務所の弁護士が書いたコラムです。ぜひご覧ください。

No 年月日 コラム
44 R8.5.20 離婚調停は弁護士なしで不利になることはある?離婚に詳しい弁護士が解説(弁護士・下山慧)
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42 R8.4.22 養育費が支払われなくなったときの対応(弁護士・畠山賢次)
41 R8.4.7 離婚における公正証書作成のポイントを弁護士が解説(弁護士・山口龍介)
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30 R7.5.13 モラハラによる離婚は弁護士に相談すべき?弁護士が解説(弁護士・畠山賢次)
29 R6.9.30 モラハラ夫との離婚後のトラブルを防ぐためのポイント(弁護士・神琢磨)
28 R6.9.4 離婚する専業主婦の年金分割について(弁護士・下山慧)
27 R6.4.1 住宅を任意売却する場合のタイミングは?(離婚前?離婚後?)(弁護士・下山慧)
26 R5.8.7 モラハラの冤罪・偽装・でっち上げへの対処法(弁護士・木村哲也)
25 R5.6.27 「子どもを考えるプログラム」について(弁護士・木村哲也)
24 R5.4.11 モラハラの被害に遭われた方へ(弁護士・木村哲也)
23 R4.12.6 配偶者からの誹謗中傷への対処(弁護士・畠山賢次)
22 R4.10.6 別居中に配偶者や弁護士から連絡が来た場合の対処法(弁護士・荒居憲人)
21 R4.8.16 DV冤罪・偽装DV・でっち上げDVへの対応方法と予防策(弁護士・木村哲也)
20 R4.7.1 多産DVとは?妻ができる解決方法と相談窓口について(弁護士・荒居憲人)
19 R4.2.17 青森市に「青森シティ法律事務所」を開設しました。(弁護士・木村哲也)
18 R3.1.18 離婚・別居時の夫婦間の子どもの奪い合いトラブルの解決手続(弁護士・木村哲也)
17 R2.5.11 LINEでのビデオ通話による法律相談対応を開始しました。(弁護士・木村哲也)
16 R2.3.5 婚姻費用分担の審判を家庭裁判所に申し立て、その審理中に離婚が成立した場合であっても、婚姻費用分担の請求権は消滅しないとの最高裁判所の判断が示されました。(弁護士・畠山賢次)
15 R2.1.21 養育費・婚姻費用の算定表が改訂されました。(弁護士・畠山賢次)
14 H31.4.23 バックアッププランのご案内(弁護士・木村哲也)
13 H30.9.18 DVの被害に遭われた方へ(弁護士・木村哲也)
12 H29.10.31 不倫慰謝料問題に特化した専門サイトを開設しました。(弁護士・木村哲也)
11 H29.10.11 小さいお子様をお連れの方も、安心して当事務所をご利用ください。(キッズスペースのご案内)(弁護士・木村哲也)
10 H29.6.12 離婚調停を弁護士に依頼するメリット②(弁護士・山口龍介)
9 H29.6.7 離婚調停を弁護士に依頼するメリット①(弁護士・山口龍介)
8 H28.9.28 長期間別居している方の離婚について(弁護士・木村哲也)
7 H28.1.6 相談料は初回無料です。お気軽にご相談ください。(弁護士・木村哲也)
6 H27.6.1 産後クライシスについて(弁護士・山口龍介)
5 H27.5.20 不倫・浮気のケースにおける秘密録音のポイント(弁護士・木村哲也)
4 H27.5.13 録音した音声は訴訟(裁判)で証拠として使えるか?(弁護士・木村哲也)
3 H27.4.1 子どもとの面会交流を諦めていませんか?(弁護士・木村哲也)
2 H27.4.1 不倫・浮気の証拠となるメールを発見したときの対処法(弁護士・木村哲也)
1 H27.3.10 婚姻費用の分担請求をご存知ですか?(弁護士・山口龍介)