会議室

「算定表」は、養育費と婚姻費用のいずれについても、子どもが3人までのものしか作成されていません。
また、子どもが2人以上いる場合については、支払を受ける子ども達の全員が父・母のいずれか一方と生活している場合を前提として作成されています。

そのため、次の場合などは、「算定表」を見ても金額が明らかではありません。
① 子どもが4人以上いる場合
② 父母間に子どもが2人以上いて、父と母のそれぞれの世帯に分かれて生活している場合
③ 養育費を支払う人が再婚した場合
「算定表」にないタイプの場合には、「算定表」の考え方を踏まえて、目安となる金額を算定することになります。
以下では、①~③のそれぞれのタイプについて、事例を挙げて具体的な算定式を説明します。

①子どもが4人以上いる場合

【事例】父の年収(給与)が500万円、14歳以上の子ども1人と14歳以下の子ども3人とともに別居した無職の母の場合、婚姻費用の金額はどのように算定されるでしょうか。

この場合、父の収入に対する標準的な割合を用いて『基礎収入』を計算し、『標準的な生活費指数』を使って求めるという方法があります。

『基礎収入』とは、給与所得者の場合、総収入(額面額)から公租公課(税金)、通勤費用などの職業費、住居関係費や保険医療費などの特別経費を控除したものをいいます。
標準的な基礎収入割合は、38%~54%とされています。
本件では、この基礎収入割合は42%となり、父の『基礎収入』は210万円(500万円×42%)となります。

次に、『標準的な生活費指数』については、親を100として、0歳~14歳までの子どもは62、15歳から19歳までの子どもは85とされています。

そして、婚姻費用の金額は、

という計算式で算定します。

そうすると、本件の婚姻費用は、210万円×(100+85+65+65+65)/(100+100+85+65+65+65)≒166万円となり、これは年額なので、月額では約13万8000円となります。

②父母間に子どもが2人以上いて、父と母のそれぞれの世帯に分かれて生活している場合

【事例】父の年収(給与)が400万円、母の年収(給与)が100万円、子どもA(16歳)は父と、子どもB(10歳)は母とそれぞれ生活している場合、養育費の金額はどのように算定されるでしょうか。

この場合、A、Bともに母と生活している場合の「算定表」の結果から、母と生活するBの養育費に該当する金額を算定して、父の負担額を計算します。

具体的には、「算定表」によれば、父、母の年収額において、A、Bともに母と生活している場合の「算定表」の結果は6万円となります。
このうち、Bに該当する割合は、生活費指数で計算すると、62/(85+62)となり、6万円×62/(85+62)≒2万5000円となります。
したがって、父は、Bの養育費として、2万5000円を支払うべきことになります。

③養育費を支払う人が再婚した場合

【事例】元夫と4年前に離婚した私は、現在6歳になる子どもAの養育費を月に4万円受け取っています。
元夫が再婚していることは知っていましたが、先日、子どもX ができたので養育費を減額してほしいと言ってきました。
養育費は減額されてしまうのでしょうか。
元夫の年収(給与)は400万円で、私の年収(給与)は 200万円、再婚相手は働いていないようです。

この場合、元夫は、再婚相手と再婚相手との間の子どもに対しても扶養義務を負いますので、元夫が養育費の減額請求をした場合には減額されることになります。
減額された場合の養育費の金額が具体的にいくらになるのか、基礎収入を求め、生活費指数を用いて算定します。

元夫の標準的な基礎収入割合は42%となり、基礎収入は168万円となります。
本人の標準的な基礎収入割合は43%となり、基礎収入は86万円となります。
次に、各人の生活費指数ですが、再婚相手の生活費指数は、元夫と同居しているので、0歳~14歳の生活費指数と同数の65として計算します。
なお、再婚相手がパート程度以上(年収100万円程度以上)の収入がある場合には、生活費指数は0とされます。

子どもAの生活費は、

で求めることができ、本件の場合、168万円×65/(100+65+65+65)≒37万円となります。

そして、子どもAの生活費を、元夫と本人の双方の基礎収入で按分すると、元夫が支払うべき額は、37万円×168万円/(168万円+86万円)≒24万4000円となり、月額約2万円となります。

算定表については、こちらもご覧ください

●養育費・婚姻費用の算定表について
●養育費・婚姻費用の算定表にないタイプ
●支払いをする義務者の年収が2000万円以上の場合の養育費・婚姻費用