産後クライシスとは

出産を境にして夫婦仲が悪化してしまう現象のことを指す言葉として、最近テレビなどでも取り上げられて話題になっている「産後クライシス」という言葉があります。

この産後クライシスの決定的な原因は、現在のところまだ特定されていないようです。①出産後の妻が、夫の家事・育児への関わり方に強い不満・ストレスを抱きやすいことが原因であるとか、②出産後に忙しくなって余裕がなくなった妻が、それまでは許せていた夫の言動に対して不満を爆発させてしまうことが原因であるとか、③産後のホルモンバランスの乱れや生活リズムの変化が、妻にストレスを与えていることが原因であるとか、様々な原因が述べられています。

産後クライシスかなと思ったら

弁護士山口龍介

原因はどうあれ、出産を境にして急に夫婦仲が悪化したという話はよく聞きますので、産後クライシスはどの家庭でも起こりうるものなのでしょう。

出産後に急に夫への愛情がなくなってしまって離婚を考えているという方、出産後に急に妻から離婚を切り出されて困っているという方など、産後クライシスなのかなと思った方は、以下の点を参考になさってみてはいかがでしょうか。

妻側の対応方法

①ある程度の「あきらめ」を持つことは必要

夫は妻と違って出産の実感がない分、すぐには父親になれないものです。また、多くの夫は、妻が望むような家事・育児を積極的に行う「イクメン」という存在になるのは無理があります。周りでイクメンと言われている人たちも、実際に話を聞いてみると、思ったほど協力していない人が多いというのが実情です。

子どもを想う気持ちはもちろん大切ですが、夫に対する理想の押し付けとなってしまったときには、夫婦関係は壊れてしまいます。

長く一緒に生活していくうえでは、夫に理想を求めて不満やストレスを抱え込むよりも、夫に対してある程度の「あきらめ」を持ち、自分たちなりの夫婦・家族関係を維持していくことの方が、大切なのだと言えるでしょう。

②譲れない部分は、きちんと会話をして折り合いをつける

家事・育児に追われる中では、なかなか夫婦の会話ができなくなるものです。また、いくら会話を持ち掛けても、夫が全く応じてこないということもあるでしょう。

それでも、どうしてもこうあってほしいと思うことや、譲れないことがあるのなら、不満を募らせるのではなく、それを二人で話し合って、折り合いをつけていくのが夫婦だと言えます。

③病院やカウンセリングなどに行ってみることも

出産後、ホルモンバランスが乱れて、自分でもどうにもならなくなってしまっていることもあります。どうしてもイライラが収まらないときは、我慢せずに病院やカウンセリングなどに行ってみるのもひとつの手です。

夫側の対応方法

①自分なりに継続して家事・育児に協力する

出産後、妻は家事に加えて育児もしなくてはならなくなり、これまで以上に忙しくなって余裕がなくなるのは当然のことです。そうであれば、夫としても、それまでと同じであってはいけません。夫婦・家族関係を続けていく中で、出産を境にして、妻の負担が増えて、夫の負担は変わらないというのは、どう考えてもおかしなことだと気付かなければなりません。

妻にとって夫であり、子どもの父親なのですから、家事・育児に協力して、夫婦・家族関係を維持するために努力をすることは当たり前のことです。

イクメンという言葉には惑わされずに、妻や子どもを大切に思う気持ちを持って、自分なりに継続して協力することが大切です。

②妻の言葉に耳を傾ける

子どもが産まれたことで忙しくなり余裕がなくなった妻が、これまでは許せていた夫の言動が許せなくなり、不満が積み重なって爆発してしまうこともあるでしょう。

この時、夫としては、「なんでこれまで文句を言わなかったことに対して、急に文句を言うようになったんだ」と思うのではなく、妻の家事・育児の負担に配慮して、自分も変わらなくてはならないと思うことです。

それまで何も言われなかったことを急に言われて、戸惑ったり、不満に思ったりすることもあるでしょう。しかし、子どもが生まれて父親となったのですから、これまでは妻に甘えていたんだ、これからはしっかりしなくては、という自覚をもって、変えていくべきです。

③妻の細かな変化に気付く

どんなに会話をしても、家事・育児に協力しても、妻のイライラが収まらないという場合、妻自身も自分でどうしたらよいか分からずに悩んでいるかもしれません。病院やカウンセリングなどに行くことをすすめてみるのも、ひとつの手です。

産後クライシスかなと思った方は、以上の点を参考になさっていただければと思います。そして、あらためて夫婦関係を見つめ直し、お互いを受け入れ、変えるべきところは変えて、出産を契機として生じた夫婦仲の悪化を乗り越えていただければ何よりです。

(弁護士・山口龍介)

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