財産分与とは、夫婦が結婚期間中に協力して築いた財産を、離婚時に分け合う制度のことを言います。
このページでは、財産分与の割合(夫婦同士でどのような割合で分配するか?)について、ご説明させていただきます。

原則は2分の1

財産分与の割合は、実務上、夫婦で2分の1(半分)ずつ分け合うのが原則であるとされています。
例えば、財産分与の対象となる財産の価額が500万円である場合には、お互いの取得額は「500万円×1/2=250万円」となります。
このような原則のことを「2分の1ルール」と言います。

財産分与の割合は、夫婦それぞれが財産を形成するのに貢献した割合に応じて、分配を行うのが公平である、ということが言えそうです。
しかし、夫婦それぞれの貢献割合を具体的に測ることは容易ではありません。
財産を築くための貢献は、働いて収入を得ることだけではなく、家事・育児等による協力も含まれます。
そのため、収入の有無・多寡や役割分担(稼ぎ手や主婦・主夫など)により一概に貢献割合に差があると見ることはできず、一般的には夫婦それぞれが同等に貢献しているものと評価されることとなります。
このような考え方から、特段の事情がない限り、実務上は「2分の1ルール」を適用するのが原則となっているのです。

2分の1ルールの例外

財産分与の割合は、上記のとおり、2分の1ずつとするのが原則です。
しかし、2分の1ルールを適用すると不公平な結果となる場合には、例外的に割合が変更されることがあります。
例えば、以下のような場合です。

①夫婦の一方の特殊な才能・能力によって大きな財産が形成された場合

夫婦の一方の特殊な才能・能力によって大きな財産が築かれた場合には、財産分与の割合が変更される可能性があります。
例えば、会社経営者や医師などのように、非常に高額の所得を得ている場合には、財産形成に対する貢献割合が高いと評価され、2分の1よりも多くの財産を取得できる可能性があります。

裁判例では、プロパンガス販売の経営者の事例で、財産分与の割合を70:30と定めたものがあります(松山地方裁判所西条支部昭和50年6月30日判決)。
また、夫が開業医として医療法人を経営している事例で、財産分与の割合を夫60:妻40と定めたものがあります(大阪高等裁判所平成26年3月13日判決)。

ただし、夫婦の一方が会社経営者や医師であることだけでなく、財産分与の対象となる財産の金額、他方(配偶者)による経営や財産形成に対する貢献の内容・程度、などの事情も総合的に考慮し、割合を変更するかどうかが判断されます。

②夫婦の一方の浪費が激しかった場合

夫婦の一方の浪費が激しかった場合には、財産分与の割合が変更される可能性があります。
例えば、ギャンブルやブランド品の購入などの浪費によって夫婦の財産を減少させたという事情があれば、浪費をした側が取得できる財産は2分の1よりも少なくなる可能性があります。

裁判例では、夫が浪費によって多額の借金をする反面、妻が倹約に努めて非常に多くの財産が形成された事例で、財産分与の割合を夫30:妻70と定めたものがあります(水戸家庭裁判所平成28年3月判決)。

ただし、浪費があれば必ず財産分与の割合が変更されるわけではなく、財産分与の対象となる財産の金額、夫婦の一方による浪費の内容・程度、他方(配偶者)による財産形成に対する貢献の内容・程度、などの様々な事情を考慮し、割合を変更するかどうかが判断されるものと考えられます。

③財産の形成に特有財産が寄与した場合

特有財産とは、結婚前から保有していた財産や、親からの相続・贈与で取得した財産など、夫婦の協力関係とは無関係に取得した財産のことを言います。
特有財産は、財産分与の対象とはならないものです。
そして、夫婦の財産の形成に特有財産が寄与した場合には、寄与の程度に応じて財産分与の割合が変更される可能性があります。

裁判例では、ゴルフ会員権等の購入にあたり、購入費用の大部分を妻の特有財産から支出した(購入費用の残る一部を結婚期間中に蓄えた預金等から支出した)事例で、夫がゴルフ等の遊興に多額の支出をしたことも考慮し、財産分与の割合を夫36:妻64と定めたものがあります(東京高等裁判所平成7年4月27日判決)。

④結婚期間中に同居していない期間があった場合

結婚期間中に同居していない期間があった場合、その期間に夫婦の協力関係が失われたと評価されるのであれば、その期間に形成された財産は財産分与の対象から除外されると考えられます。
逆に、同居していない期間があったとしても、夫婦の財産管理の実態等から協力関係が失われたと言えない場合には、別居期間中に形成された財産も財産分与の対象になると考えられます。

しかし、同居していない期間に夫婦の協力関係が失われたとまでは言えないものの、その期間に夫婦の財産形成に対する貢献度に顕著な差が生じた場合には、その期間に形成された財産を夫婦で均等に分配することが公平に反することもあり得ます。
また、同居期間中に形成された財産と、同居していない期間に形成された財産とを、明確に区別することが困難な場合もあり得ます。
これらの場合には、財産分与の割合を変更することによりバランスをとるという判断もあり得るでしょう。

裁判例では、約7年間の結婚期間のうち、妻の約1年8か月間の留学による別居期間があり、留学期間中は妻が無収入であったという事例で、財産分与の割合を夫60:妻40と定めたものがあります(東京家庭裁判所平成25年10月審判)。

主婦・主夫の場合

専業主婦・専業主夫の場合には稼働による収入がなく、兼業主婦・兼業主夫の場合には収入が少ないことが多いです。
しかし、前述のとおり、財産を形成するための貢献は、稼働して収入を得ることだけではなく、家事・育児等による協力も含まれます。
そうである以上は、主婦・主夫の場合にも、財産分与の割合は基本的には2分の1となります。

ただし、前述の2分の1ルールの例外にあたる場合には、財産分与の割合が変更されることがあります。
また、専業主婦・専業主夫の場合には、離婚後すぐに収入を得ることができず、生活に困窮してしまうという事情があることもあり得ます。
このような場合には、離婚後の生活の維持(扶養的な要素)を考慮して財産分与の割合が調整されることがあります。
例えば、①夫が会社経営者や医師であり、財産分与の割合を夫70:妻30と定めるべきところ、扶養的な要素を考慮して夫60:妻40に修正する、②2分の1ルールを基礎としながら、扶養的な要素を考慮して取得財産を上乗せする、などの調整が考えられます。

もっとも、専業主婦・専業主夫であるからといって、必ず扶養的な要素が考慮されるわけではありません。
具体的に生活が困窮する程度を考慮して、ケースバイケースで判断されるでしょう。

当事者の合意による割合の変更

2分の1ルールとその例外は、仮に訴訟や審判となった場合における家庭裁判所の一般的な考え方を示したものであり、協議や調停での話し合いにより財産分与を決める際の指針にもなるでしょう。
ただし、この2分の1ルールは、協議や調停での話し合いにより財産分与の取り決めをする場合に、必ず守らなければならないというわけではありません。
夫婦間で合意できるのであれば、前述のような2分の1ルールの例外にあたらない場合であっても、2分の1とは異なる割合で財産分与をすることが可能です。

例えば、早期の離婚成立を強く希望する場合には、配偶者が取得する財産の割合を多くすることにより、配偶者から離婚の同意を取り付ける、という解決方法もあるでしょう。

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