はじめに
離婚に関連する問題について、裁判所から調停申立書が届いたという方はいらっしゃいませんか?
当事務所では、お客様から離婚に関連するご相談を日々お受けする中で、「家庭裁判所から調停申立書が突然届いたが、どう対応すればよいのか?」といったご相談をいただくことも多くあります。
そこで、このページでは、裁判所から調停申立書が届いた場合の対応についてご説明いたします。
調停申立書が届くまで
裁判所から調停申立書が届いたということは、あなたを相手方として、配偶者が調停を申し立てたということです。
調停の手続は、まずは配偶者が管轄の家庭裁判所に調停申立書などの必要書類を提出することから始まります。
そして、裁判所での調停申立ての受付が完了すると、裁判所が調停の日程(期日)を決定した上で、あなたの元へ裁判所から調停申立書等が郵送されるということになります。
調停申立書が届いた場合の対応
基本的なことですが、裁判所から調停申立書等が届いたら、まずは、書類の内容をきちんと確認しましょう。
その上で、調停の期日が記載された書面が同封されていると思いますので、その日時を確認して、調停に出席できるように日程を確保しましょう。
どうしても都合がつかずに出席できないという場合には、できるだけ早めに裁判所に事情を連絡しましょう。
そうすることで、調停の日程の変更を認めてもらったり、第1回目の調停期日の欠席だけは許してもらったりすることができる可能性があります。
なお、調停手続への対応を弁護士に依頼した場合には、裁判所への連絡や調停の日程変更などについても、弁護士を通じて行うこととなります。
ここで注意していただきたいのは、無断で調停を欠席してはいけないということです。
正当な理由なく調停に欠席した場合には、次に説明するとおり、数々の不利益を被るリスクがありますから、無断で調停に欠席することだけは避けましょう。
調停申立書を無視した場合のリスク
裁判所から届いた調停申立書を放置して、調停を無断で欠席したらどうなるのでしょうか?
調停とは、基本的には、家庭裁判所の調停委員が仲介して、当事者間での話し合いを進めて解決を図っていく手続です。
そのため、調停の当事者が欠席を続けた場合には、話し合いが進んでいかないという状況となり、調停が成立せずにそのまま終了することになります。
そうすると、「配偶者から提起された調停が何も決まらないまま終わるのだから、それでいいのではないか?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、調停を無断欠席して無視することには、以下のような数々の不利益を被るリスクを伴います。
婚姻費用の分担を求める調停が提起された場合
離婚を求める調停と同時に、婚姻費用の分担を求める調停が一緒に提起されることが多くあります。
婚姻費用の分担を求める調停については、調停の期日に欠席をしたとしても、調停が不成立で終わるのではなく、審判の手続へと移行することになります。
審判とは、当事者の言い分や提出資料を踏まえて、裁判所が婚姻費用の額などを決定する手続です。
あなたが手続を無視する対応を取ってしまうと、あなたの言い分が裁判所に聞かれることなく、配偶者の言い分や配偶者が提出した資料のみに基づいて、裁判所による審判が下されて、あなたに対して婚姻費用の分担を命じられることになります。
一旦審判が下されてしまうと、その審判の内容をもとに、給料や預金等の差押えを受ける可能性もあります。
また、審判が出た後になってから、一度下された審判の内容を覆すことは困難ですし、そのためには非常に大きな労力を要することにもなります。
したがって、婚姻費用の分担を求める調停が申し立てられていた場合には、特に注意する必要があり、無視は絶対にしてはいけません。
離婚調停が提起された場合
離婚調停が不成立で終了した場合には、その次の段階として、離婚訴訟を提起される可能性が高いです。
離婚調停は、裁判所の調停委員が仲介をするものの、当事者での話し合いを基本として進められる手続ですから、お互いの言い分を踏まえて、ある程度柔軟に解決を図ることができます。
しかし、離婚訴訟となると、そうはいきません。
離婚訴訟では、裁判官が前面に出て手続進行の指揮を執り、当事者の言い分を整理して、判決に向けて手続が進められていきますが、その手続は非常に専門的であり、複雑なものです。
また、離婚調停の段階であれば、ある程度話し合いの余地があったとしても、離婚調停を無断で欠席してしまった場合には、離婚訴訟の段階に至っても、なお配偶者にそのような話し合いの余地があるとは限りません。
そのため、離婚訴訟に発展した場合には、より困難な対応を迫られるリスクがあります。
離婚訴訟や審判における裁判所の心証への悪影響
離婚調停が不成立で、離婚訴訟に発展した場合には、あなたが離婚調停を無断で欠席した事実が、紛れもない事実として突き付けられることになります。
配偶者からは、離婚調停に無断で欠席する非常識で身勝手な人物であるなどと非難され、まるであなたが問題を抱えた人物であると印象付けられてしまうリスクがあります。
そうすると、例えば、子どもの親権が問題となっているような場合には、そのような身勝手で非常識な人物が子どもを監護養育していくのにふさわしくない、などとして不利益な判断を下されてしまう可能性もあり得ます。
また、婚姻費用の分担を求める調停等が審判に移行した場合にも、同様に裁判所の心証に悪影響を及ぼし、ご自身にとって不利な結果を導く要因となり得ますので、注意が必要です。
面会交流、離婚後の養育費・財産分与の調停が提起された場合
離婚に関連する調停としては、面会交流の調停、離婚後の養育費や財産分与を求める調停などがあります。
これらの調停についても、婚姻費用の分担を求める調停と同じく、不成立となった場合には、審判の手続に移行することになります。
したがって、これらの調停が申し立てられた場合にも、やはり無視するという対応を取ってはいけません。
弁護士にご相談ください
以上に説明したとおり、調停申立書が届いた場合には、絶対に放置はしないということが重要です。
もっとも、そのことは同時に、調停の期日に出席してきちんと対応を取っていくということを意味します。
調停の手続では実際にどのように対応すればいいのか、調停委員にどのようなことを話せばいいのか、配偶者とは離婚となってしまうのか、子どもの親権はどうなってしまうのか、養育費はいくらくらいの支払額となるのか、といった大きな不安や負担を抱えていくことにもなります。
そのため、裁判所から調停申立書が届いた場合には、その後の対応などについて、速やかに、法律の専門家である弁護士に相談されることをお勧めいたします。
また、弁護士に調停手続への対応を依頼することで、弁護士が窓口となって裁判所との連絡調整や提出物の準備・提出を行ったり、調停の期日に同席して、調停委員とのやり取りを補助したり、調停手続中の様々な疑問点・問題点に関して、その都度必要なアドバイスを行いながら、適切な解決に向けて調停手続を進めていくといったサポートを受けることが可能です。
離婚問題や調停の手続に精通した弁護士に依頼をすることによって、ご自身だけで調停の手続に対応することへの不安や負担は、大きく軽減されると思います。
当事務所の弁護士は、これまで、離婚問題や調停に関する多数のご相談やご依頼を受けてきました。
離婚については、親権者の指定、面会交流、財産分与、婚姻費用、養育費、子の引渡しなど様々な問題が複雑に絡むことが多いですが、当事務所の弁護士は、そのような複雑な問題についても、適切に解決に導いてきた豊富な実績がございます。
裁判所から調停申立書が届き、対応にお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。
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