1 離婚の手続を進める手順

弁護士下山慧

離婚の手続は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の各段階があります。そして、配偶者に対する慰謝料請求は、それぞれの段階で、親権や養育費、財産分与などとともに、離婚条件の一つとして求めていくこととなります。

また、不倫・浮気相手に対する慰謝料請求の手続は、示談交渉、裁判の段階があります(民事調停という手続も利用できますが、あまり一般的ではありません)。不倫・浮気相手に対する慰謝料請求を、離婚の手続と同時進行で行っていくか、切り離して進めて行くかは場合によります。配偶者に対しては慰謝料を請求するつもりはないが、不倫・浮気相手に対しては慰謝料を請求したいという場合には、切り離して進めていくことになるでしょう。

以下では、不倫・浮気の被害による離婚や慰謝料請求の手続を進める手順やポイントについて、不倫・浮気相手への慰謝料請求の手続も交えて、ご説明いたします。

2 不倫・浮気の被害による協議離婚を進める際のポイント

不倫・浮気の証拠の有無や内容にかかわらず、配偶者が不倫・浮気の事実を認めて離婚に同意すれば、あとは慰謝料の金額や支払方法の協議を進めていくこととなります。

しかし、配偶者が不倫・浮気の事実を認めず、離婚にも応じないことも考えられます。「何を根拠に言っている?」、「証拠でもあるのか?」などと言って、こちらがどのような証拠を持っているのかを探ってくることもあるでしょう。

ここで重要なことは、裁判となった場合を見据えた対応をすることです。確実な証拠を確保している場合には、いくら配偶者が否定しようとも、最終的には裁判で離婚も慰謝料請求も認められますから、強気で協議していくことができます。きちんと慰謝料を支払わないなら、裁判まで持っていくつもりだという覚悟を示して、配偶者に「どうせ争って裁判となっても、離婚も慰謝料も認められてしまう」、「このまま争っても、裁判を起こされて負担が大きくなるだけだ」と思わせるのがポイントです。

確実な証拠はないが、ある程度の有力な証拠(例えば、二人が寄り添って写っている写メ、好意を寄せ合っていることが分かるメール・LINEなど)は複数あるという場合には、一つ一つを順に示しながら、認めるよう迫っていくのも手です。配偶者が不倫・浮気の事実を認めれば、それは確実な証拠となります。その際に、会話の内容を録音しておくか、その場ですぐに不倫・浮気を認める一筆を配偶者に書かせることは必須です。最初は認めていたにもかかわらず、後になって不倫・浮気相手と口裏を合わせたうえで、否定してくるということは、時々見られるからです。

一方で、確実な証拠を示しても、不倫・浮気相手をかばってか、不倫・浮気の事実を否定してくる配偶者もいます。その場合は、その弁解を録音しておくと、後々使えることがあります。まったく理由にならないような弁解を繰り返して頑なに否定するという言動は、精神的苦痛を増大させるものとして、裁判において、慰謝料を増額させる事由として主張することができます。

不倫・浮気相手に対する示談交渉での場合の対応も、基本的には配偶者に対する対応と同様です。ただし、ご自身で交渉される場合には、怒りの余りに行き過ぎた言動をしてしまわないように、注意が必要です。あまりに行き過ぎた言動(脅し的な発言、頻繁な電話、職場を訪問など)をしてしまうと、そのことで逆に自分が損害賠償を請求されてしまったり、そのことを理由に不利な交渉に追い込まれてしまったりすることもあります。不倫・浮気相手に対して冷静な対応ができないだろうと思われるときは、弁護士に交渉を依頼するべきでしょう。

なお、配偶者は頑なに不倫・浮気の事実を否定しているのに、不倫・浮気相手はあっさりと認めるということも時々あります。確実な証拠がない場合であれば、不倫・浮気相手に、謝罪文などといった形で、不倫・浮気の事実を認める内容で一筆書かせるとよいでしょう。

3 不倫・浮気の被害による調停離婚を進める際のポイント

配偶者が不倫・浮気の事実を否定している、あるいは離婚を拒否しているなどして、協議での離婚や慰謝料の合意が難しい場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。

離婚調停は、調停委員を交えた話し合いで合意を目指す手続ですが、ここでも話し合いとなりますので、基本的な対応は、協議離婚の場合と同様です。

もっとも、調停委員が間に入りますので、調停委員から配偶者を説得してもらうということは、ある程度期待できます。確実な証拠を確保しているのであれば、それを資料として提出して調停委員に見てもらい、離婚に応じて慰謝料を支払う方向で、配偶者を説得してもらうことになります。ただし、確実な証拠がない場合には、逆にこちらが、離婚あるいは慰謝料請求を諦める方向で説得されることもあり得ますので、注意が必要です。

不倫・浮気相手は、離婚調停の相手方とはなりません。配偶者と不倫・浮気相手の両方に慰謝料を請求している場合には、離婚調停での慰謝料の支払に関する話し合いの状況に応じて、不倫・浮気相手との示談交渉を進めていくことになるでしょう。

4 不倫・浮気の被害による裁判離婚を進める際のポイント

調停委員からの強い説得があっても、まったく受け付けない配偶者もいます。離婚調停でも離婚や慰謝料の合意ができない場合には、離婚訴訟を提起して、裁判で離婚と慰謝料を請求していくことになります。

裁判においては、証拠がすべてです。証拠によって不倫・浮気の事実が証明できれば、法律上の離婚原因に該当するとして離婚が認められますし、慰謝料の請求も認められます。

不倫・浮気相手に対しても慰謝料請求していた場合には、離婚の裁判を申し立てるときに、同時に不倫・浮気相手に対しても慰謝料請求の裁判を申し立てて、2つの裁判の手続を併合してもらい、同時進行で進めていくことが多いです。

5 経験と実績が豊富な弁護士に依頼を

以上で見てきたように、不倫・浮気の被害による離婚と慰謝料の請求は、証拠が何よりも重要であることを前提に、離婚協議の段階から、裁判を見据えた対応をすることがポイントとなります。
この点、不倫・浮気の問題を豊富に扱い、裁判に精通した弁護士であれば、不倫・浮気をした配偶者や不倫・浮気相手の出方の様々なパターンを熟知していますし、裁判を見据えた確固たる対応や、確かな見通しに基づいた的確な主張を展開することができます。したがって、離婚協議の段階から、より説得的で、より強気の交渉によって、早期に解決を図ることが可能となります。八戸シティ法律事務所では、不倫・浮気の被害による離婚と慰謝料請求の依頼を受け、慰謝料を獲得して離婚を成立させてきた実績が豊富にございます。不倫・浮気の被害による離婚や慰謝料請求をお考えの方は、ぜひ一度、八戸シティ法律事務所にご相談いただければと存じます。

不倫・浮気の被害による離婚についてはこちらもご覧ください

●不倫・浮気の被害による離婚について
●不倫・浮気の証拠と集め方について
●配偶者と不倫・浮気相手の両方に慰謝料請求できるか
●不倫・浮気による慰謝料はいくらくらい請求できるか
●不倫・浮気の被害による離婚や慰謝料請求の手続を進める手順