DV(ドメスティックバイオレンス)の被害を受けた方は、加害者である配偶者とは絶対に顔を合わせたくない、離婚の手続を安全に進めたいと考えるのが通常であると思います。
このページでは、DV加害者との離婚の手続を安全に進める方法について、ご説明いたします。

1 協議離婚を安全に進めるためには

DV加害者に対しては、ご自身だけでは、離婚の話を切り出すことだけでも危険です。
まして慰謝料や財産分与などの金銭的な請求をすることは、さらなる逆上を招くため非常に危険です。

安全上、弁護士を代理人に立てて、相手方との交渉を任せるのがベストです。
そうすることで、相手方と顔を合わせることもなく、また、相手方にご自身の居場所を知られることもなく、離婚の手続を安全に進めていくことが可能となります。

ところで、DV加害者は、自分のDVが離婚の原因となったことの自覚に乏しく、また、自分の主張を一切曲げないことも多いため、離婚の条件を話し合って調整していくということが困難である場合が少なくありません。
そのため、正常な話し合いを進められないようであれば、早めに離婚協議を打ち切って、離婚調停を申し立てることが必要と考えられます。

また、DV加害者は、配偶者への執着心が強く、自分の支配下から出ていこうとするのを全力で阻止し、あるいは出て行った後も執拗に居場所を突き止めて連れ戻そうとすることが少なくありません。
そのため、できるだけ早く裁判所に保護命令の申立てを行う必要があります。
家から出て行くのを阻止されたり、あるいは居場所を突き止められて連れ戻されたりした場合、最初はどんなに謝って優しくしてきても、すぐにまたDVが始まり、以前よりもエスカレートする危険がありますので、注意が必要です。

2 調停離婚を安全に進めるためには

離婚調停を申し立てる際に、これまでのDV被害や、裁判所で暴力を振るう危険性があることを裁判所へ伝えておくと、裁判所内や裁判所への行き帰りで相手方と顔を合せることのないように、裁判所が配慮してくれます。
申立書と一緒に提出することとなっている「進行に関する照会回答書」には、このことを記載する欄が設けられていますので、実際には、この書面に記入する形で裁判所へ伝えることになります。

弁護士が代理人になっている場合には、調停期日に本人が出席しなくても済む場合もあります。
調停が成立する(調停離婚で合意する)時には、本人が出席しなくてはなりませんが、その場合にも、相手方と顔を合せることのないように配慮してくれます。

3 裁判離婚を安全に進めるためには

調停離婚が成立しない場合には、離婚訴訟(裁判)を申し立てることになります。
離婚訴訟で、弁護士が代理人に付いている場合には、本人尋問(裁判所で事実関係などに関する質問を受けて、回答・供述する手続)など一部の手続の時以外には、本人が出席する必要はありません。

また、本人尋問を行う場合も、事前に申請をすることで、遮蔽措置やビデオリンク方式によって、相手方と顔を合せないように裁判所が配慮してくれます。
裁判所内や裁判所への行き帰りで相手方と顔を合せないように裁判所が配慮してくれることは、離婚調停の場合と同様です。

※遮蔽措置とは、お互いに相手方の状態を直接見えないように、衝立(ついたて)を設置する措置のことです。ビデオリンク方式とは、自分は尋問を行う法廷とは別の部屋にいる状況で(DV加害者がいる法廷には出ずに)、法廷にいる裁判官や代理人の弁護士と、テレビモニターを通じて尋問が行われる方式のことです。いずれの場合も、DV加害者と顔を合せることはありません。

以上のように、協議離婚、調停離婚、裁判離婚のいずれにおいても、離婚の手続を安全に進めるためには、弁護士を代理人に立てて進めていくのがベストです。
当事務所の弁護士は、DV加害者を相手方とする協議離婚や調停離婚を安全に進めて成立させてきた実績が多数あります。
また、遮蔽措置やビデオリンク方式で本人尋問を行い、裁判離婚を安全に進めて成立させた実績もあります。
DV加害者との離婚に不安を抱いている方は、当事務所にご相談いただければと存じます。

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