弁護士木村哲也

DV(ドメスティックバイオレンス)による被害は、時として深刻な事態に陥る危険性があり、その対応にあたっては細心の注意を払うべきであると言えます。このページでは、DVを受けた場合の初期的対応と避難を行う際の注意点について、ご説明いたします。

DVを受けた場合の初期的対応

できるかぎり証拠を集める

DVを受けた場合、まずはできるだけDVの証拠を集めていただくことが大切です。DVの事実を証明できるだけの証拠があれば、その後の保護命令の発令や、離婚に向けた手続を有利に進めていくことができます。また、DVの証拠については、時間が経てば失われてしまうものもありますし、避難した後には集めることが難しい証拠もあります。そのため、できれば、避難をする前に集められるだけ証拠を集めた方がよいといえます。ただし、無理は禁物です。証拠を集めるのに躍起になっていつまでも避難が進まない、証拠を集めているのが相手方に発覚してDVがひどくなってしまった、といった事態に陥ってしまっては、本末転倒ですので、無理のない範囲で行うようにしましょう。

DVの証拠として、例えば、暴力を振るわれて、怪我を負ったり、体にあざが残っている場合には、その状態を写真で撮影したり、病院を受診して診断書をもらったりすることが考えられます。自宅内で暴れたり物を投げつけたりして、部屋が散乱としていたり、物が壊れていたりするような場合には、その状況を写真で撮影しておくことが考えられます。また、暴行や暴言がなされた際に、その様子を撮影・録音できていれば、それらも極めて有効な証拠となります。

速やかに避難を進める

DVを受けた場合の初期的対応としては、速やかに避難を進めることが何よりも重要となります。避難にあたっては、家族や友人の支えのもと、実家に避難したり、友人の部屋に一時的に避難し、その後にアパートを借るなどして生活を安定させていったりする方法などが考えられます。

もっとも、家族や友人の協力を得ることが困難な場合や、緊急で避難する必要性が高い場合もあり得ます。そのような場合には、一時保護施設(シェルター)へ避難する方法も考えられます。一時保護施設(シェルター)へ避難するためには、お近くの配偶者暴力相談支援センター(自治体によっては女性相談窓口、福祉事務所などが配偶者暴力相談支援センターに指定されているところもあります)や警察などの関係機関に相談を行った上で、手続を進めていくのがよいでしょう。

避難を行う際には、相手方に発覚しないように隠密で行動を進めていくことが必要となります。そのため、避難にあたっては、身の回りで必要となる最低限のものだけを持ち出すことが多いです。また、子どもがいる場合には、子どもにも暴力などの危害が加えられるおそれがあるため、子どもを連れて一緒に避難することが多いと考えられます。

関係機関への相談や保護命令の申立てを行う

避難が完了したとしても、油断はできません。相手方からすれば突然いなくなってしまったご自身や子どもを探し回っている可能性があります。相手方から「どこに行ったんだ、早く帰ってこい!」と頻繁に留守番電話やメールが入っているとか、警察に相談して捜索願いを出そうとしている場合もあります。また、実家や子どもが通う学校などの近辺を徘徊しているような場合もあります。

そのような場合に備えて、事前に警察に相談を行い、対応を取ってもらうことが考えらえます。また、裁判所に対して保護命令の申立てを行い、自分や子どもへの接近を禁止する命令を発令してもらうことも考えられます。裁判所に対して、保護命令の申立てを行う場合には、事前に、配偶者暴力相談支援センターや警察などに相談を行い、助言を得ておくことで、手続をスムーズに行うことができるでしょう。また、弁護士に相談してサポートを受けることもご検討ください。

避難の際の注意点

避難にあたっては、相手方に発覚しないように、速やかに避難を進めていくことが何より重要となります。相手方に避難しようとしていることが発覚してしまうと、DVがより激しいものになってしまう危険もありますし、避難先が筒抜けになってしまう危険もあります。

また、子どもがいる場合には、子どもが通う保育園や小学校に待ち伏せされたり、子どもを連れ去られたりするケースもあります。そのような場合に備えて、事前に保育園などに相談をしたり、事情を説明したりしておくことが必要な場合もありますし、場合によっては保護命令の申立てが必要となる場合もあります。

また、避難にあたっては、住民票などの情報から、現住所を突き止められないように注意を払う必要があります。相手方も配偶者、子どもの親という立場で、住民票や戸籍の附票を取得することができますので、そこから、現在の住所地が突き止められてしまうというケースもあり得ます。そのため、避難にあたって住民票を移転してしまった場合には、あわせて、市町村役所に対して、閲覧制限の措置を申請して、相手方が住民票等を閲覧したり、取得したりすることができないように、対応することが必要となります。

また、保護命令の申立てや、離婚調停の申立てにあたっては、申立てに関する書類は相手方に送付されます。そのため、そのような書類に、避難している住所地を記載してしまって、その記載内容から現住所が発覚したりすることのないように、注意する必要があります。

弁護士にご相談ください

以上のように、DV被害に遭われた方が避難や保護命令、離婚の手続などを進めていくにあたっては、慎重に物事を進めていかなければなりません。八戸シティ法律事務所では、これまでに、DVの被害に遭われた方からのご相談・ご依頼を多数お受けして、サポートしてきた実績が豊富にございます。DV被害に遭われてお困りの方がいらっしゃいましたら、是非一度、八戸シティ法律事務所にご相談いただければと存じます。

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