面会交流は、子どもにとって有害であると認められる場合を除き、原則として拒否することはできません。
この点、母親が子どもの親権者となった場合に、子どもが父親に会いたがっているにもかかわらず、母親は離婚の際に揉めた父親と子どもを会わせたくない、というケースが多く見られます。
しかし、面会交流は、親権者とならなかった親の権利であるとともに、子どもの健全な育成にとって有益なものと認められることから、親権者となった親の一存で拒否をすることはできません。
ただし、面会交流の実施は絶対のものではなく、以下のような場合には拒否することができると考えられます。
【子どもが明確に面会交流を嫌がっている場合】
子どもが明確に嫌がっているにもかかわらず、面会交流を無理矢理実施することは、子どもにとって有害であると言えるでしょう。
このような場合には、面会交流を拒否することができると考えられます。
中学生以上など一定の年齢に達した子どもが面会交流を拒絶している場合には、拒否が認められる可能性が高いでしょう。
【子どもを連れ去られる可能性がある場合】
以前に子どもの連れ去りを実行した場合などです。
面会交流を機会に再び子どもの連れ去りを実行するおそれがあります。
このような場合には、面会交流を拒否できる場合があります。
【相手方が子どもを虐待していた場合】
相手方が子どもを虐待していたにもかかわらず、面会交流を実施することは子どもにとって有害であると言えます。
このように、子どもの心身を傷付ける可能性がある場合には、面会交流を拒否することができます。
なお、面会交流について親同士で争いがある場合には、家庭裁判所に調停を申し立て、解決を求めることができます。