経営者の離婚には、通常の世帯とは異なる特有の問題があります。

ここでは、一方が経営者の場合に注意しなければならない主な問題についてご紹介いたします。

経営者の場合も財産分与の割合は2分の1か?

その問題の1つは、財産分与についてです。
まず、財産分与の割合は、原則として2分の1とされます(これを「2分の1ルール」といいます)。
この2分の1ルールは、共働きの夫婦であっても、妻が専業主婦の場合であっても、同じく適用されます。

しかし、経営者自身の特別な才覚や努力によって多額の資産が形成された場合には、2分の1ルールが適用されず、財産分与の割合が低くなることがあります。

例えば、プロパンガス販売の経営者の離婚にあたって、財産分与の割合が70:30とされた裁判例があります。

経営者が配偶者を従業員として雇用している場合、離婚を理由に解雇できるか?

次に、経営者が配偶者を従業員として雇用している場合、離婚するにあたって、配偶者を解雇することができるのかという問題があります。
この点、夫婦の問題と雇用関係の問題は、法律上別個のものです。
そのため、例えば、配偶者が不倫や浮気をしていた場合でも、そのことのみを理由に配偶者を一方的に解雇することはできません。

また、勤務成績が悪いことなどを理由に解雇する場合でも、解雇が相当と認められるかどうかは、慎重な判断が必要です。
ただ、配偶者の不倫・浮気相手が同じ職場内の従業員であった場合は、職場内の不倫・浮気を理由とする解雇を有効としている裁判例もあるので、判断が分かれるところでしょう。

いずれにせよ、従業員として雇用している配偶者と離婚の話し合いをする際には、雇用関係の問題も一緒に解決する必要があることを念頭に置かないと、離婚の際に大きな障害になります。

まずは弁護士にご相談ください

経営者の離婚には、上記のポイントをはじめ、経営者に特有の財産の調査、評価方法など、多くの問題がついて回りますので、お困りのときはお気軽に当事務所にご相談ください。

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解決事例
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30代の女性が、夫から583万円に相当する財産分与を獲得した事案(調停離婚)
40代の男性が、妻から暴言・暴力および借金・浪費を理由として300万円の慰謝料を請求されたのに対し、慰謝料なしに収めた事案(裁判離婚)
40代の女性が、2回目の調停期日(依頼から2か月)で離婚を成立させた事案(調停離婚)
50代の男性が、ご依頼からわずか3か月で、10年間も別居状態にあった妻との離婚を成立させた事案(調停離婚)
30代の男性が、子どもの親権を妻に譲ったものの、妻からの300万円余りの金銭請求(慰謝料および財産分与)に対し、40万円の解決金(260万円以上の減額)の支払に収めた事案(調停離婚)
50代の男性が、有責配偶者からの離婚請求であるものの、離婚訴訟を提起して判決によって離婚が認容された事案(裁判離婚)