事案内容:離婚
依頼者:50代の男性(経営者)
相手方:50代の女性
結婚歴:27年
子ども:成人済み

1 夫婦の状況

依頼者は、妻と別居して8年以上が経過していました。
妻との別居に至る原因として、依頼者の不貞行為がありました。
依頼者は、子どもが全員親元から巣立つタイミングで、妻に対して離婚の申し入れをしましたが、妻から拒否されました。

2 相談・依頼のきっかけ

妻から離婚を拒否されて困り果てた依頼者は、何とか離婚を成立させるための方法などを聞きたいと、当事務所にご相談に来られました。
当事務所の弁護士は、依頼者が有責配偶者(離婚の原因について責任がある側の配偶者)であり、離婚請求のハードルが高いものの、別居期間の長さ、子どもが全員親元を巣立っていることなどからすると、離婚を成立させられる可能性が十分にあると判断しました。
その上で、当事務所の弁護士は、依頼者に対し、離婚協議・離婚調停・離婚訴訟の3段階の手続の流れ、財産分与・慰謝料など離婚に当たって妻に対して支払う必要がある金銭の概要について、ご説明させていただきました。
そして、依頼者は、離婚を成立させるための手続を当事務所にご依頼いただくこととなりました。

3 当事務所の活動

当事務所の弁護士は、ご依頼のあと、すぐに妻に対し、依頼者の代理人として、離婚を求める旨などを記載した書面を送付しました。
すると、妻も弁護士を立ててきたため、弁護士同士の離婚協議となりました。
当事務所の弁護士は、妻側の弁護士との協議を進めましたが、妻側は、基本的に離婚を認めないスタンスであり、離婚の条件として相場を大きく外れる法外な金銭要求を突き付けてきました。

当事務所の弁護士は、離婚協議による解決は困難であると判断し、依頼者の同意のもとに、離婚調停を申し立てました。
しかし、離婚調停でも、妻側は弁護士を立てて、協議段階と同様の法外な金銭的条件を主張し続けたため、離婚調停が不成立に終わりました。
そこで、当事務所の弁護士は、依頼者の同意のもとに、離婚訴訟を提起し、裁判による解決を図ることとしました。

4 当事務所が関与した結果

離婚訴訟では、主に、有責配偶者からの離婚請求が信義則上許されないか否かが争点となりました。
当事務所の弁護士は、別居期間が8年以上に及んでいること、子どもが全員親元を巣立っていること、妻に十分な稼働能力があること、財産分与・慰謝料の給付によって妻の当面の生活が維持できることなど、離婚請求の認容を相当と認めるに足りる事実関係を丁寧に主張・立証していきました。

依頼者側、妻側の双方で主張・立証および反論・反証を戦わせる一方で、裁判官の仲介のもとに、相当な金銭的条件を取り決めて離婚を成立させるための和解協議が何度か行われました。
しかし、妻側が離婚を頑なに拒否する姿勢であったため、和解による解決を図ることはできませんでした。
そのため、依頼者および妻の法廷での尋問手続を経て、裁判官の判決を求めることとなりました。
判決の内容は、依頼者の離婚請求を認容するというものでした。
また、判決では、依頼者が妻に対し、相当額の財産分与・慰謝料を支払うことを命じられましたが、妻側の要求額を大幅にカットする常識的な金額でした。
判決に対しては、依頼者には納得できる内容であり、妻側からの控訴(判決に対する不服申立て)も出されなかったため、そのまま確定しました。

当事務所の弁護士による訴訟での弁護活動の結果、有期配偶者からの離婚請求であるものの、離婚の成立を勝ち取り、さらに、金銭的条件についても、常識的な金額に抑えるという最高の勝訴を勝ち取ることができました。

5 解決のポイント(所感)

有責配偶者からの離婚請求は、相手方配偶者から離婚を拒否された場合に、非常にハードルが高いものとなります。
離婚協議・離婚調停・離婚訴訟の3段階の離婚手続の中で、離婚の合意に至るケースも少なくありませんが、裁判官の判決によって決着を図ることとなるケースも多々あります。
有責配偶者からの離婚請求が判決によって認容されるためには、別居期間が相当長期に及んでいること、離婚を成立させても相手方配偶者を精神的・社会的・経済的に過酷な状態に追いやるものではないことなど、信義則に照らしても離婚が許容され得るということを十分に主張・立証しなければなりません。
有責配偶者からの離婚請求は、離婚の事案の中でも特に難易度が高く、離婚訴訟にまでもつれ込んで長期戦となることも想定されますので、離婚の事案に手慣れた弁護士にご相談・ご依頼いただくことをお勧めいたします。

6 お客様の声

相談するまでは、大変なストレスや経済的な苦労がありましたが、一度相談してからは、本当に、早急な解決を見ることができました。
こちらの金銭的な事情も考慮して頂き誠に感謝しております。
ありがとうございました。

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