離婚前の夫婦別居について

夫婦が離婚を前提に別居状態となるのは、よくあることです。以下のような状況にある方については、離婚の話し合いをよりスムーズに進めるために、あるいは、肉体的・精神的な苦痛から逃れるために、できる限り早く配偶者と別居した方がよいでしょう。

①離婚をしたいと伝えたが、配偶者が応じてくれない方。
②配偶者との関係が悪化し、生活費をもらえなくなった方。
③DVやモラハラの被害に遭っている方。
④配偶者が高圧的であったり、話がかみ合わなかったりするため、正常な離婚の話し合いが困難であると考えている方。
⑤配偶者との同居生活を続けることで、子どもに悪影響があると考えている方。

別居に向けた事前準備

離婚を前提として配偶者と別居するにあたっては、事前準備としてやっておくべきことが多々あります。そのうち、主なものを以下でご説明させていただきますので、参考になさっていただければと存じます。

財産分与の情報収集

別居後の離婚の話し合いにおいては、財産分与が問題となることが多いです。財産分与については、配偶者の財産に関する情報をより多く把握している方が、話し合いを有利に進めることができます。しかし、配偶者としては、別居後に財産分与の話し合いが始まると、財産を隠してくることも十分に想定されます。そこで、別居に向けた事前準備として、配偶者の財産の情報をできる限り収集しておくことが重要となります。

配偶者の財産の情報については、具体的な内容や金額までは把握していなくても、預金口座がある銀行名および支店名、生命保険や学資保険の契約がある保険会社名、株式や投資信託の取引がある証券会社名および支店名が分かっていれば、相手方に対して具体的な内容や金額を開示するように要求することが可能となります。

配偶者の財産に関する情報収集は、配偶者との別居後には困難であることが多いです。そのため、別居に向けた事前準備として、しっかりと情報を把握しておく必要があります。また、このような情報収集を行っていることを配偶者に気付かれると、配偶者が警戒して財産に関する資料を隠してしまうこともあり得るため、別居前のわずかな期間において、慎重を期して確実に情報収集を行うようにしていただければと存じます。

不倫・浮気の証拠収集

別居後の離婚の話し合いにおいて、不倫・浮気による慰謝料の請求を予定している場合には、別居に向けた事前準備として、不倫・浮気の証拠収集を行うことが重要です。不倫・浮気による慰謝料請求がうまくいくかどうかは、不倫・浮気の証拠を握っているかどうかによって左右されるケースがほとんどです。

この点、配偶者が不倫・浮気をしている場合には、不倫・浮気相手とのメールやラインのやり取り、日記などの様々な証拠が存在することが多いものです。しかし、これらの証拠については、上記の財産分与に関する資料と同じく、配偶者との別居後には入手が事実上不可能となりますし、配偶者に警戒されると証拠隠滅を図られるおそれもありますので、別居までの限られた時間で慎重かつ確実に証拠を確保するようにしましょう。

また、仮に、配偶者との別居後に不倫・浮気の事実を把握し、探偵事務所に調査を依頼するなどして、不倫・浮気の証拠を入手できたとしても、配偶者から、不倫・浮気の関係は夫婦別居してから始まったものであり、別居前にはなかったと言い逃れをされてしまうことがあります。こうなると、十分な金額の慰謝料を請求することができなくなってしまう危険があります。不倫・浮気を理由に十分な金額の慰謝料を請求するには、不倫・浮気が原因で婚姻関係が破たんに至ったと言えることが条件であるためです。この点からも、夫婦別居前に不倫・浮気に関する証拠を確保しておくことが重要です。

婚姻費用分担請求の準備

ご自身が家を出て夫婦別居が始まると、配偶者からの生活費の支給がストップしてしまう例が少なくありません。夫が「妻が勝手に家を出ていったのだから、生活費を渡す必要はない」などと主張し、妻に対する生活費の支払を一方的に止めてしまうケースなどが典型的です。こうなってしまうと、妻の側は、夫婦別居後に生活がままならない状況に追い込まれてしまいます。

このような事態を想定して、配偶者と別居したあと、速やかに婚姻費用分担調停を申し立てていかなければなりません。婚姻費用とは、別居中の夫婦の生活費のことであり、たとえ別居中であっても、夫婦にはお互いに扶養義務があるため、収入の多い方が少ない方に対して生活費を支払う必要があるのです。一般的に、夫の方が妻よりも収入が高いケースが多いため、夫から妻に対して婚姻費用を支払う義務があり、その支払を求める調停が婚姻費用分担調停なのです。

婚姻費用の請求は、請求時点からの分をさかのぼって請求することができますが、別居開始後に時間が経ってから婚姻費用分担調停を申し立てた場合には、調停申立て以前の生活費を受け取ることはできません。そのため、夫婦別居後にスムーズに婚姻費用分担調停を申し立てることができるように、別居するまでの間に調停申立ての準備を進めておくのがよいでしょう。

子どもがいる場合の準備

子どもがいる方の場合には、夫婦別居に伴って、子どもの保育園や幼稚園、小学校を変えなければならないというケースも少なくありません。その場合には、別居に向けた事前準備として、現在の保育園・幼稚園・小学校への説明と、新しい保育園・幼稚園・小学校との調整も必要となってきます。

また、子どもの健康保険の切り替えや、児童手当の振込先の変更など、市町村役場への相談および手続が必要となってきます。後記の別居の際に持ち出すべき物についても、子どもがいる場合には、分量が多くなってしまいます。子どもがいる場合には、別居に向けた事前準備として検討すべき項目が多々ありますので、別居までの計画と段取りをしっかりと組んでいくことが重要です。

別居の際に持ち出すべき物

ご自身が家を出て夫婦別居を開始する際に、何を持ち出すのかという問題があります。配偶者が夫婦別居に反対している場合など、配偶者に別居する旨の事前告知をせずに、最低限必要な物だけを持ち出して家を出るなどの対応が必要となることもあるでしょう。

別居の際に持ち出す物としては、家具・家財の類をすべて持ち去るような対応をしてしまうと、後々トラブルになるおそれがあります。一方で、上記のように配偶者に事前告知をせずに家を出る場合には、大掛かりな引っ越し準備などができず、持ち出せる物の数や量には限度があるのが通常です。そこで、家を出る際に持ち出す物と置いていく物について、どのように選別するのかを事前に考えておく必要があります。

この点、別居の際に必ず持ち出す必要があるのは、財布や携帯電話などについては言うまでもありませんが、ご自身の通帳やカード類、生命保険の保険証券、実印、免許証や健康保険証などの身分証明書、パスポート、仕事などで必要不可欠なもの、捨てられない大事なもの(思い出の品など)、当面の間の衣類なども持ち出すようにしましょう。家を出た後になってこれらの物を置き忘れたことに気付き、配偶者に対して引渡しや家に入って取り出すことの許可を求めても、嫌がらせ的に拒否されてしまう事態も考えられます。なお、家を出て別居生活が開始されたあとに、配偶者の了解なく勝手に家に入ってしまうと、住居侵入であるとして警察に通報されてしまうなどのリスクもあり得るところです。そのため、必要なものについては、家を出る際に忘れずに持ち出すようにしましょう。

弁護士にご相談ください

以上のように、配偶者との別居にあたっては、様々な事項を検討し、段取りよく準備を進めていくことが大切です。夫婦別居までの計画を立てて、いつ、どこで、何をするのかについて、ご自身だけで考えて実行していくことには不安が大きいかもしれません。そこで、離婚に向けて別居をお考えの場合には、離婚問題に詳しい弁護士にご相談のうえで、配偶者との別居を進めていくのがよいでしょう。

八戸シティ法律事務所では、これまでに、離婚問題に関するご相談・ご依頼を多数お受けして参りました。解決実績も豊富にあり、経験とノウハウが蓄積されています。是非一度、お気軽に八戸シティ法律事務所にご相談ください。

また、八戸シティ法律事務所では、離婚問題に直面した方が継続的に電話やメール、面談でご相談いただけるように、「バックアッププラン」というサポートをご用意させていただいております。別居に向けた事前準備や配偶者とのやり取りにおいて、とっさの判断に困ることも多々あると思われますが、このような場合に都度予約を取らなければ弁護士に相談できないのでは、間に合わないというケースも考えられます。そこで、八戸シティ法律事務所の「バックアッププラン」をご活用いただくことによって、電話やメール、面談で適時・必要なアドバイスを弁護士から受けながら、夫婦別居に向けた対応を適切に進めていくことが可能となります。是非一度、八戸シティ法律事務所にご相談にお越しいただきまして、「バックアッププラン」のご利用をご検討いただければと存じます。

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