八戸シティ法律事務所では、離婚に関するご相談・ご依頼を多数取り扱っていますが、離婚の当事者が単身赴任者であるというケースも少なくありません。
単身赴任者の離婚には特有の問題がありますので、以下でご説明させていただきます。

離婚を成立させることができるか?

離婚の当事者が単身赴任者の場合でも、夫婦双方が離婚に同意していれば、問題なく離婚を成立させることができます。
しかし、夫婦の一方が離婚に応じない場合には、家庭裁判所での調停・訴訟を前提としたときに、離婚を成立させられる見込みがあるかどうかを検討しなければなりません。

法律上の離婚原因としては、配偶者の不倫・浮気や3年以上の生死不明などが典型的なものですが、これらの明確な離婚原因に該当しない場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在しなければなりません。
この点、夫婦が長期間(結婚期間の長さなどによりますが、おおむね4~5年程度以上)の別居を継続している場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると認められるでしょう。
ただし、夫婦の不仲などを理由にせず単純に単身赴任をしているに過ぎなければ、離婚が認められるための別居期間としてはカウントされません。
そのため、書面などで離婚の意思をはっきりと示すなど、離婚に向けた別居期間が開始されたと分かる証拠の有無がポイントとなることがあります。

離婚のための手続

単身赴任者が当事者となる離婚では、夫婦双方が遠距離で暮らしているため、離婚のための手続をどう進めるかが問題となります。
離婚をするための手続としては、まずは家庭裁判所を通さずに、離婚協議(夫婦同士の話し合い)で解決を目指すのが通常です。
しかし、離婚協議の際には、電話や郵便などの遠隔での交渉だけではなく、夫婦が対面で話し合わなければ、話がまとまらないことも多いです。
また、離婚をしたあとに養育費が支払われないなどの不安がある場合には、公正証書で離婚協議書を作ることが考えられますが、夫婦双方が公証役場に出頭することが必要であり、なかなか話が進まないこともよくあります。

離婚協議での解決が難しければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることとなります。
離婚調停の手続は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることとなりますので、遠隔地での手続となってしまうのが基本です。
ただし、幼い子どもと同居していて遠方の家庭裁判所での手続が困難であるなどの相当の事情があれば、「自庁処理」と言って、ご自身の住所地を管轄する家庭裁判所で離婚調停を行うことができるケースもあります。
また、遠方の家庭裁判所での調停手続となったとしても、必ずしも出向かなければならないわけではなく、電話会議システムを利用して調停手続を進めることが可能ですし、「調停に代わる審判」という手続によって夫婦の一方が家庭裁判所に出頭しなくても離婚を成立させることができます。

離婚調停でも解決ができない場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を申し立てることとなります。
離婚訴訟を提起するためには、原則として、先に離婚調停での解決を試みたことが必要であり、離婚調停を経ずにいきなり離婚訴訟を申し立てることはできないのが原則です。
離婚訴訟は、ご自身の住所地を管轄する家庭裁判所に提起することができます。
一方で、相手方が離婚訴訟を提起する場合には、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に提起してくることが多いです。
ただし、離婚訴訟においても、離婚調停と同様に、電話会議システムを利用して訴訟手続を進めるなどの対応が可能ですので、遠隔地であるからといって直ちに重大な不利益が課されるわけではありません(ただし、尋問の手続が行われる場合など、遠方の家庭裁判所にどうしても出頭せざるを得ないこともあります)。

財産分与

結婚してから夫婦で築いた財産は、離婚時に2分の1に分配するのが基本です。
この点、単身赴任者の離婚では、夫婦双方が遠距離で暮らしているため、相手方が知らないうちに隠し財産を作っているというケースもあります。
例えば、給与振込先口座以外の預金口座を開設し、貯蓄をしているケースなどが典型的ですが、実際問題として隠し財産の発見は難しいことも多いです。
しかし、例えば、給与振込先口座から怪しい振込・振替があるなどすれば、そこから隠し財産の存在が判明することもあります。

また、財産分与の基準時として、どの時点での財産をベースに2分の1に分配するかという問題があります。
単身赴任を開始した時点と、離婚をする時点とで、預金などの財産状況に大きな差がある場合には、財産分与の基準時をめぐって争いになることが少なくありません。
財産分与とは、夫婦が協力関係のもとに形成した財産を離婚時に分配するという制度ですから、一般的な離婚のケースでは、別居開始時に夫婦の協力関係が失われたものとして、別居開始時が財産分与の基準時とされることが多いでしょう。
しかし、夫婦不仲による別居と単身赴任とは異なりますので、単身赴任開始時をもって財産分与の基準時とすることはできません。
一方で、離婚の請求が行われた時点が財産分与の基準時となると決まっているわけではなく、「夫婦共同で財産を築き上げる協力関係が消滅した時点はいつなのか?」を考え、その時点をもって財産分与の基準時とすることになるでしょう。

弁護士にご相談ください

以上のように、単身赴任者が当事者となる離婚には、特有の問題点が複数あります。
八戸シティ法律事務所では、これまでに、単身赴任者の離婚問題について、ご相談・ご依頼を多数お受けして参りました。
数多くの解決実績がございますので、まずはお気軽に八戸シティ法律事務所にご相談ください。