養育費・婚姻費用の「算定表」は、養育費・婚姻費用を支払う側に前配偶者との子ども・認知した子どもがいる場合を前提とするものはありません。
養育費・婚姻費用を支払う側に前配偶者との子ども・認知した子どもがいる場合の養育費・婚姻費用の計算方法について、以下でご説明させていただきます。
なお、以下の説明は、「算定表」の元となる「標準算定方式」を前提とするものです。
「標準算定方式」については、次のQ&A記事をご参照ください。
●養育費の標準算定方式による計算方法は?
●婚姻費用の標準算定方式による計算方法は?
1 養育費の計算
【事例1】
夫の年収(給与)が600万円である。
妻の年収(給与)が200万円である。
夫と妻の間には、16歳の子どもAと10歳の子どもBがいる。
夫には、認知した8歳の子どもCがいる。
子どもCの母Dは、子どもCと暮らしており、年収(給与)が150万円である。
夫と妻が離婚し、子どもA・Bはいずれも妻と同居することとなる。
養育費の金額はどのように算定されるか?
上記の【事例1】では、「標準算定方式」により、以下のように養育費の金額が算定されます。
①夫婦それぞれの基礎収入を計算する。
・夫の基礎収入:600万円×41%=246万円
・妻の基礎収入:200万円×43%=86万円
②仮に養育費の支払義務者が子どもと同居していた場合の子どもの生活費を計算する。
・夫とA・B・Cの生活費指数の合計:100+85+62+49=296
【Cの生活費指数】
Dの基礎収入:150万円×44%=66万円
計算:62×246万円/(246万円+66万円)≒49
※Cの生活費指数を夫とDの基礎収入により按分しています。しかし、このような按分計算を行うためには、Dの収入額の情報が必要となります。そのため、このような按分計算をせず、15歳以上:85、14歳以下:62の数値をそのまま用いる取り扱いをする裁判所もあるようです。
・A・Bの生活費指数の合計:85+62=147
・計算:246万円×147/296≒122万2000円
③上記②で計算した子どもの生活費を夫婦ぞれぞれの基礎収入で按分し、養育費の支払義務者が支払うべき養育費の年額を計算する。
・計算:122万2000円×246万円/(246万円+86万円)≒90万5000円
④上記③で計算した養育費の年額を12か月で割り、養育費の月額を計算する。
・計算:90万5000円÷12か月≒7万5000円
2 婚姻費用の計算
【事例2】
夫の年収(給与)が600万円である。
妻の年収(給与)が200万円である。
夫と妻の間には、16歳の子どもAと10歳の子どもBがいる。
夫には、認知した8歳の子どもCがいる。
子どもCの母Dは、子どもCと暮らしており、年収(給与)が150万円である。
夫と妻が別居となり、子どもA・Bはいずれも妻と同居している。
婚姻費用の金額はどのように算定されるか?
上記の【事例2】では、「標準算定方式」により、以下のように婚姻費用の金額が算定されます。
①夫婦それぞれの基礎収入を計算する。
・夫の基礎収入:600万円×41%=246万円
・妻の基礎収入:200万円×43%=86万円
②夫婦それぞれの生活費指数を計算する。
・夫の生活費指数:100
・夫とCの生活費指数:100+49=149
【Cの生活費指数】
Dの基礎収入:150万円×44%=66万円
計算:62×246万円/(246万円+66万円)≒49
※Cの生活費指数を夫とDの基礎収入により按分しています。しかし、このような按分計算を行うためには、Dの収入額の情報が必要となります。そのため、このような按分計算をせず、15歳以上:85、14歳以下:62の数値をそのまま用いる取り扱いをする裁判所もあるようです。
・妻とA・Bの生活費指数:100+85+62=247
③必要となる生活費の金額を計算する。
246万円×247/(149+247)≒153万4000円
86万円×247/(100+247)≒61万2000円
153万4000円+61万2000円=214万6000円
④必要となる生活費に不足している金額を計算する。
・婚姻費用の年額:214万6000円-86万円=128万6000円
・婚姻費用の月額:128万6000円÷12か月≒10万7000円