一度取り決めた婚姻費用であっても、変更が可能な場合があります。
夫婦同士が協議(話し合い)により合意できるのであれば、婚姻費用の金額を自由に増額・減額することができます。
協議がまとまらない場合であっても、以下で説明するような事情の変更があれば、家庭裁判所の調停や審判により増額・減額が認められます。
事情の変更とは、例えば、失業・転職などにより収入が大きく減ったとか、昇進などにより収入が大きく増えたなどの事情がある場合です。
また、権利者(受領側)と同居する子どもの教育費や医療費が従前よりも多くかかるようになったことは、婚姻費用の増額の要素となります。
このように、権利者(受領側)の経済状況が悪くなれば婚姻費用の増額の要素となり、良くなれば減額の要素となります。
一方で、義務者(支払側)の経済状況が悪くなれば婚姻費用の減額の要素となり、良くなれば増額の要素となります。
事情の変更があったと言えるためには、①取り決めの基礎となった事情に変更があったこと、②取り決めの時点で当事者が事情の変更を予見できなかったこと、③婚姻費用の増額または減額を必要とする程度に重要な事情の変更であること、が必要です。
当事者が事情の変更を予見できた場合には、取り決めた婚姻費用の金額に事情の変更はすでに織り込み済みと言えますので、婚姻費用の増額・減額が認められません。
また、権利者(受領側)または義務者(支払側)の増収・減収があったとしても、それがわずかな増収・減収なのであれば、重要な事情の変更とは言えず、婚姻費用の増額・減額は認められません。
婚姻費用の増額や減額の手続としては、まずは夫婦同士で協議(話し合い)をすることが考えられます。
しかし、夫婦同士で話し合っても合意がまとまらない場合もあります。
その場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立て、婚姻費用の増額や減額を求めることができます。