離婚の訴訟は、相手方(配偶者)が遠方に住んでいる場合でも、調停の手続とは異なり、自分の住んでいる近くの家庭裁判所で訴えることができます。
離婚の訴訟は、夫婦どちらかが住んでいる近くの家庭裁判所で訴えることができます。
つまり、こちらが訴えを起こすのであれば、こちらが住んでいる近くの家庭裁判所で訴えることができるわけです。
したがって、相手方(配偶者)が遠方に住んでいる場合でも、自分の住んでいる近くの家庭裁判所(自分の住所地を管轄する家庭裁判所)で訴えることで、その家庭裁判所で離婚の訴訟の手続が行われます。
なお、和解離婚を成立させるためには、本来、夫婦が同じ裁判所に出席する必要がありますが、一方の当事者が遠方に住んでいる場合には、異議を出さない前提で、調停に代わる審判(離婚とその条件を決定する)という手続きをとることができるので、一方の当事者がわざわざ遠方の家庭裁判所へ出席しなくても和解離婚を成立させることができます。
補足として、遠方に住んでいる相手方(配偶者)が、自分の近くの家庭裁判所で訴訟の手続をすべきであるとして、「移送の申立て」をしてくる可能性があります。
この場合、家庭裁判所は、「当事者及び尋問を受けるべき証人の住所その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るために必要があると認めるとき」は、その訴訟を他の家庭裁判所に移送することができます。
また、夫婦に子どもがいる場合、移送を認めるかどうかを判断するにあたっては、子どもの住所を考慮しなければならないとされています(親権争いで家裁調査官が子どもの状況を調査する可能性があるから)。
とはいえ、例えば、妻が子どもとともに家を出てA市に移り住んでいる場合において、A市の家庭裁判所への移送が必ず認められるという意味ではありません。
裁判例でも、子を連れて一方的に別居した妻による移送申立てを却下したものがあります。
移送の申立てが認められる「訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るために必要があると認めるとき」というのは、かなり限定的な場面であると考えてよいでしょう。