養育費を支払わないということだけでは、子どもを会わせないことの理由にはなりません。
面会交流や養育費に関するご相談をお受けする中で、「元夫が子どもの養育費を支払わない場合でも、私は面会交流をさせなければいけないのですか?」というご質問を受けることがあります。
また、「養育費はいらないので、今後、子どもと元夫を会わせないということはできますか?」というご質問を受けることもあります。
両親が離婚しても、子どもにとっては、母親と父親の両方とも親であることに変わりはありません。
そして、子どもの成長にとっては、一緒に暮らす親からだけでなく、離れて暮らす親からも愛情を受けて育つことが望ましいと考えられています。
その意味で、子どもには、離れて暮らす親と面会交流する権利があり、また、子どもを養育する親には、面会交流させる責任があると考えられています。
そのため、面会交流を拒否できるのは、離れて暮らす親が子どもを虐待していたなど、面会交流をさせることが子どもの不利益となるような場合のみとなっています。
また、養育費の支払と面会交流の実施は、引き換えの関係にはなく、それぞれ切り離して考えなければなりません。
どちらも、それぞれの親が、子どものためにすることだからです。
そのため、例えば、元夫が「子どもと会えなくてもいいから、養育費は支払いたくない」と言っても認められません。
それと同様に、元夫が養育費を支払わないからといって、子どもを会わせないことの理由にはならないのです。
とはいえ、養育費の支払は、親としての子どもに対する当然の義務です。
面会交流とは切り離して考えなければならないとしても、養育費は子どもが生活してく上で必要なものであることを伝えて、きちんと支払ってもらう必要があります。
自分では支払を求めていくことが難しいと感じたときは、養育費請求の法的手続をとることも視野に入れて、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。