事案内容:離婚(財産分与・婚姻費用)
依頼者:30代の女性(公務員)
相手方:40代の男性(公務員)
結婚歴:9年
子ども:なし

1 夫婦の状況

依頼者は、婚姻期間中、夫からの日常的なモラルハラスメント(威圧的な叱責、物に当たる、謝罪や土下座を強要するような言動等)に悩まされ続けていました。
夫婦間のやり取りには、依頼者を追い詰めるような表現が繰り返し見られ、依頼者は次第に心身に不調をきたすようになりました。
限界を感じた依頼者は、別居に踏み切りました。

2 相談・依頼のきっかけ

別居後、依頼者が夫に離婚の意向を伝えたものの、夫は「離婚には応じない」との姿勢を崩さず、話し合いによる解決の見込みが立たない状況でした。
そこで依頼者は、専門家に対応を委ねたいと考え、当事務所にご相談・ご依頼くださいました。

3 当事務所の活動

当事務所は、まず夫に対して受任通知を送付し、別居後の生活費として婚姻費用の請求を行いました。
夫は離婚そのものには応じない意向を維持しつつも、婚姻費用については収入に応じた金額を毎月継続して支払う対応をとりました。

話し合いによる解決が見込めなかったことから、離婚調停を申し立てましたが、夫の離婚拒否の姿勢は変わらず、調停は1回目の期日で不成立となりました。

そこで、当事務所の弁護士は、依頼者のご意向に基づいて、離婚訴訟を提起しました。
離婚訴訟では、婚姻期間中のメール・LINEのやり取りや依頼者が記録していた日記等の記録をもとに、夫の言動が「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することを主張・立証していきました。

これに対し、夫側は代理人を立てて争う姿勢を示し、個々のやり取りについて「売り言葉に買い言葉であった」「夫婦げんかの範囲内である」などと事実関係や評価を細かく争ってきたため、準備書面のやり取りは複数回に及びました。
当事務所は、感情的な水掛け論に陥ることなく、時系列に沿って客観的な証拠を積み重ねる形で対応を続けました。
あわせて、婚姻期間中に形成された預貯金・退職金・生命保険の解約返戻金相当額・自動車等の資産を一覧化し、財産分与の対象となる財産を漏れなく整理して主張しました。

4 当事務所が関与した結果

お互いに陳述書を提出して、本人尋問をするかどうかという段階に至り、ついに夫も離婚に応じる姿勢に転じました。
さらに、財産分与の算定結果を踏まえて一定額を支払う意思も示してきました。
この結果、離婚の成立と、夫が離婚に伴う解決金として300万円を支払うという内容の決着となりました(合意した内容をもとにした裁判所による「調停に代わる審判」という形での決着となりました)。

5 解決のポイント(所感)

依頼者は、ご相談当初、「相手が離婚に頑なに応じないため、慰謝料や財産分与が認められなくても構わないので、とにかく離婚さえ成立させたい」というお気持ちを強く持っておられました。
しかし、離婚を実現するための手続を進める中でも、本来認められるべき婚姻費用や財産分与の請求を並行して継続したことにより、離婚の成立に加えて、経済的な面でも納得のいく成果につなげることができました。

相手方が離婚に頑なに応じないケースであっても、婚姻費用の請求を怠らず、客観的な証拠を丹念に積み重ねて対応することで、離婚の実現と適正な金銭的解決の両方を得られる可能性があります。
同様の状況でお悩みの方は、諦めずにまずご相談いただければと思います。