事案内容:財産分与
依頼者:60代の女性(無職)
相手方:60代の男性(無職)
結婚歴:43年
子ども:なし
1 夫婦の状況
依頼者は、結婚期間中、専業主婦として夫の仕事を支えてきました。
一方で、夫は、依頼者に対し事あるごとに冷たく当たり、依頼者に辛い思いをさせてきました。
夫の退職後、依頼者はご自身で協議離婚を行いました。
財産分与の問題が残されることになりましたが、元夫は、依頼者に財産を一切渡すつもりはないと言ってきたことから、依頼者ご自身で財産分与を受けることは難しい状況でした。
2 相談・依頼のきっかけ
依頼者は、残された財産分与の問題の解決を希望され、当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
3 当事務所の活動
当事務所の弁護士は、まずは受任通知を内容証明郵便で元夫に対し送付して、速やかに財産分与請求調停の申立てを行いました。
調停の申立て後、元夫に対し調停の進め方や準備すべき資料について電話で案内し、第1回の調停に向けて準備を進めていきました。
4 当事務所が関与した結果
財産分与の対象財産として、依頼者が把握していた元夫名義の財産は、不動産と預貯金でした。
調停では、第1回目の時点において、依頼者名義の財産は当事務所の弁護士において整理の上目録を作成していたのですが、元夫においても十分に準備をしていたのでしょうか、元夫は不動産と預貯金に加え、自動車と保険の解約返戻金があると主張してきました。
より具体的には、元夫からは、不動産と預貯金が財産分与の対象となることは認めるものの、自動車は自分が使用することから財産分与の対象外であり、保険については解約にするのか現物を分与するのか決めてほしいとの主張がされました。
これに対し、当事務所の弁護士は、自動車も婚姻財産であり依頼者が専業主婦として協力していたからこそ購入できたものであって当然に分与の対象であること、保険の解約返戻金は依頼者において利用する必要性が乏しいため、それぞれ2分の1相当額を現金で分与すべきであることを主張しました。
そうしたところ、元夫は、当方の主張を全面的に受け入れ、最終的に依頼者に対して1920万円の現金を支払わせる、という内容の合意(調停)を成立させることができました。
元夫の準備が良かったという事情もありますが、第1回目の調停で調停成立となり、迅速な解決を図ることができました。
その後、元夫からは1週間も経過しないうちに1920万円の支払いが行われました。
5 解決のポイント(所感)
当事務所の弁護士がご依頼を受ける前、元夫は財産分与をすることを完全に否定していました。
しかし、当事務所の弁護士がご依頼を受けることにより、法的に正当な権利主張を行い、適切な金額の財産分与を受けることができました。
調停の場においては、元夫から自動車と保険の解約返戻金について唐突な主張がされましたが、依頼者に付き添っていた弁護士が法的知識を適切に用いて最善の回答をすることにより、第1回目の調停で元夫の合意を取り付けることができました。
解決のスピードとしても、ご依頼から3か月足らずでの調停成立となり、迅速な対応ができたと感じております。