事案内容:親権
依頼者:20代の女性(会社員)
相手方:20代の男性(会社員)
結婚歴:6年
子ども:2人

1 夫婦の状況

依頼者は、夫の粗暴な言動や性格の不一致などが原因で、夫婦別居に至りました。
依頼者と子どもは自宅でそのまま生活を続け、夫が自分の実家へ出ていくことで、別居生活が始まりました。
別居生活中、依頼者と夫の間では離婚の条件について話し合いがなされ、依頼者を親権者としたうえで、養育費や面会交流について、おおむね条件の合意がなされました。

2 相談・依頼のきっかけ

しかし、別居から1か月ほどした段階で実施された面会交流において、夫が、終了時刻前に突然「子どもが帰りたくないと言っている。」などと言って子どもを返すことを拒否したことで、依頼者と子どもは引き離されてしまいました。
依頼者は、夫が全く引き渡しに応じないことに困り果て、何より子どものことを心配して、当事務所に相談に来られました。
当事務所の弁護士は、子どもを速やかに取り戻すためには、子の引き渡し・監護者指定の審判および審判前の保全処分を家庭裁判所に申し立てる必要があることを説明し、これらの手続および離婚の手続を一括してご依頼いただくこととなりました。

3 当事務所の活動

当事務所の弁護士は、依頼を受けた当日、子どもを返すことを求める内容の受任通知を発送するとともに、夫に電話をして、速やかに子どもを返すよう求めました。
しかし、夫は、応じられないと述べるにとどまらず、今後は自分が子どもを養育していくと主張しました。
その後も、速やかに子どもを返すこと、少なくとも依頼者と子どもが顔を合わせる機会をすぐに設けることなどを求め続けましたが、夫は、様々な理由をつけて、面会、行事参加、通院同行すらも拒否するという態度でした。
そのため、当事務所の弁護士は、並行して準備を進めていた子の引き渡し・監護者指定の審判および審判前の保全処分を、ご依頼から1週間以内に申し立てました。

子の引き渡し・監護者指定の審判および審判前の保全処分の手続は、申立てから2週間後の日が、第1回の期日と設定されました。
そして、第1回期日で調査命令が出され、速やかに調査官調査が開始されました。

調査官調査では、第1回期日当日の親面談から始まり、家庭訪問調査および交流場面観察、関係機関調査を経て、第1回期日の1か月後に調査報告書が出されました。

また、調査官調査の途中で、夫も弁護士に依頼しました。
そして、夫側は、依頼者の養育が不適切であるから保護したなどと主張してきました。
もっとも、夫側がその主張の裏付けとして提出してきた資料は、捏造された可能性が高いものが含まれており、当事務所の弁護士は、その点についても客観的な証拠を示して、一つ一つ丁寧に反論していきました。

4 当事務所が関与した結果

調査報告書における調査官の意見は、主たる養育者は依頼者であり監護者を依頼者とすべきであること、面会交流の約束に反して子どもを返さなかった夫の行為は子どもを依頼者から不当に奪取したものであること、その後も依頼者と子どもの交流を遮断したことは子どもの情緒発達を阻害するものであること、現在の状況が続くことは子どもの情緒発達に悪影響を及ぼすおそれが高く、「子の福祉を害する急迫の危険性がある」ので、直ちに依頼者の監護のもとに置くことが相当であるというものでした。

調査報告書が出されてすぐに迎えた第2回期日では、調査報告書の内容を踏まえた上での意向の確認から始まりました。
夫側は、さらなる反論の機会を設けることでの審理の続行を希望してきました。
これに対して、当事務所の弁護士は、すでに十分な調査が尽くされ、その間、夫側にも十分に反論の機会が与えられていることから、これ以上の審理は不要であり、速やかに裁判所の判断を出すようにと求めました。
これを受けて、裁判所が、依頼者と夫側とそれぞれに、個別に話を聞きつつ意見を述べる中で、最終的に、夫側は任意の引き渡しに応じると回答しました。

そして、期日の後、無事に引き渡しが実施されました。
その後の第3回期日では、引き渡しが実施されたことを受けて、依頼者を監護者とすることで和解が成立しました。

和解成立後は、当事務所の弁護士は、夫側と、養育費・面会交流・財産分与に関する話し合いを続け、子どもの親権者を依頼者として、適正な離婚条件を定めた上で協議離婚を成立させることができました。

5 解決のポイント

依頼者は、子どもと安定した生活を送っている中で、面会交流の約束を反故にされ、子どもと引き離されるという非常に辛い状況からのスタートでした。
審判前の保全処分を申し立てたことで、通常の審判手続よりも、期日や調査官調査の進行が速かったとはいえ、依頼者にとっては、子どもと離れているその1日1日が苦痛であり、子どもの生活を心配し、非常に長く感じたと思います。

子どもを不当に奪取して、交流を遮断することは、子どもの情緒発達に悪影響を及ぼすことは明らかであり、決してあってはならないことです。
子どもを不当に奪取された側としては、相手がそのようにしたのだから、自分もすぐにでも子どもを取り戻したいと思うでしょうし、そのように思うこと自体はやむを得ないことかもしれません。
しかし、それを実際に行動に移してしまうと、そこから子どもの奪い合いが繰り返されてしまい(例えば保育園のお迎えの場で奪い合いの争いが発生するなど)、そのことにより一番ダメージを受けるのは、間に挟まれた子どもであるといえます。

本件では、依頼者は、そのことにすぐに思い至り、弁護士に相談して、正当な法的手段によって子の引き渡しを求めるという対応をしました。
それまで当たり前のよう行っていた保育園へのお迎えも、行きたい気持ちを抑え、電話で子どもの様子を聞くにとどめるという対応をしました。
子どもの主たる養育者として、常に子どもの精神的・身体的ニーズに応え、愛着関係が十分に形成されていたからこそ、そのように子どものことを第一に考えた対応ができたのだと思います。
裁判所の手続の進行は、保全処分であっても依頼者の気持ちに沿うようなスピードではなかったかもしれませんが、穏便な形で引き渡しが実施され、保全処分の決定が出るよりは早く、もとの安定した生活に戻れたことは何よりです。

6 お客様の声

本当に辛い中、山口先生と出会い、初めからわかりやすい説明と対応していただく早さも早く、不安な中でしたが、落ち着いて過ごす事ができました。
本当にありがとうございました。
結果、今とても幸せです!!ありがとうございます!!

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