事案内容:養育費
依頼者:20代の女性(会社員)
相手方:30代の男性(会社員)
結婚歴:―
子ども:1人

1 夫婦の状況

依頼者は、元夫が申し立てた離婚調停において、子どもの親権者を依頼者とし、元夫は養育費として月額20万円を支払うとの内容で合意して、離婚しました。
この月額20万円という金額は、裁判所が作成している養育費の「算定表」から計算される金額の2倍の額でしたが、元夫の方から、子どもと依頼者の離婚後の生活を考えてとのことで、提案してきたものでした。

その後、離婚から1年ほど経った時、突然、元夫から養育費減額の調停が申し立てられました。

2 相談・依頼のきっかけ

元夫は、弁護士を立てて、調停を申し立てていました。
そのため、依頼者は、自分だけで対応するのは難しいと感じ、自分も弁護士に依頼して対応したいとのことで、ご相談・ご依頼いただきました。

3 当事務所の活動

調停において、元夫側は、「算定表」に従って養育費を月額10万円に減額すべきだと主張してきました。
そして、減額を求める理由として、離婚後に元夫の収入が減ったこと、依頼者が就職したこと、調停で合意された金額が相場の2倍であり、このまま支払いを続けると元夫の生活が成り立たなくなること、今後収入がさらに減少する可能性があることや、逆に支出が増大する可能性があることなど、様々な主張をしてきました。
これに対して、当事務所の弁護士は、離婚後の双方の生活状況を踏まえても、減額が認められる理由は一切ないことを主張しました。

結局、調停での話し合いでは決着がつかず、審判手続(最終的に裁判官が判断を下す手続)に移行しました。
審判手続においても、当事務所の弁護士は、元夫側の主張に対して一つ一つ反論して、元夫側の主張を裏付けるような客観的な証拠がないことや、元夫側が提出した証拠の内容のおかしい点なども一つ一つ丁寧に指摘して、減額が認められる理由は一切ないことを主張しました。

4 当事務所が関与した結果

その結果、審判では、元夫の申立てを退ける判断が出ました。
元夫は、この審判に対して即時抗告(高等裁判所への不服の申立て)をしましたが、これも退けられました。
これにより、養育費の減額はされずに、無事解決することができました。

5 解決のポイント

わずかな収入の減少があったとか、将来的に収入が減少する可能性があるというくらいでは、いったん合意した養育費を減額すべきではないと考えられています。
子どもの生活の安定を考えれば当然のことといえます。

詳しく言えば、実務では、いったん合意した養育費を減額する場合には、合意した当時には考えられなかったような事情の変更があり、かつ、その事情の変更が重大であるために合意した金額をこのまま維持することが困難な状況にあることが必要であると考えられています(例えば、突然リストラされて、再就職したが収入が大幅に減少した場合など)。
また、将来的な事情が減額の理由として認められるのは、その事情の生じることが確実であって、しかも確実であることが客観的な証拠によって示されているというような限定的な場合に限られると考えられています。

このような実務を踏まえて、当事務所の弁護士は、元夫側の主張や、元夫側が提出した証拠に対して、一つ一つ丁寧に反論していきました。
その結果、減額が認められるべき理由はないという裁判所の判断を得ることができました。
依頼者は、お子さんとの生活がどうなってしまうのか大変心配しておられましたので、減額なしで無事に解決でき、ご安心いただけたことが何よりです。

6 お客様の声

離婚して1年程での養育費減額の申し立てを相手からされて、とても不安だったが山口先生が親身になって話を聞いてくれ落ち着いてすごすことができた。
結果も大変満足いくものだった。また何かあればここを頼ろうと思える法律事務所だった。

アンケート36
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