銀行員は、平均収入が高く手厚い福利厚生を受けられる一方で、他の職業に比べ、出張や出向、あるいは単身赴任などが多いという特徴があります。
それだけに、家族が一緒にいる時間が少なくなりがちになることで夫婦間の溝が深まり、その結果、離婚問題へ繋がりかねません。
ここでは、夫婦の一方又は双方が銀行員の場合に離婚問題に直面した際に、特に問題になりやすい点について解説していきます。
婚姻費用・養育費
離婚に向けて話し合いが進み、別居が開始された場合、夫婦のうち、子どもの面倒を見る方が、もう一方に対して婚姻費用(生活費)の支払いを求めることができます。
また、親権が争われて離婚調停や離婚裁判の結果、夫婦のうち親権者となった方が養育費を受け取ることができます。
婚姻費用や養育費の金額は、夫婦間で合意ができるようであればその金額となりますが、金額に争いがある場合には、夫婦の年収や子どもの人数・年齢を基準として決められることになります。
仮に、夫婦の双方が銀行員の場合には、夫婦間での収入差が比較的小さいと思われますが、それぞれの収入は一般的な家庭よりも高いと思われます。
そうすると、婚姻費用の金額や養育費の金額も一般的な家庭よりもやや高額になると思われます。
他方で、夫婦の一方のみが銀行員である場合には、夫婦間での収入差が大きい場合が多いと思われます。
その結果、銀行員が子どもの面倒を見る場合や親権者となった場合には、銀行員が受け取る婚姻費用や養育費の金額は一般的な家庭よりも低額となるでしょう。
逆に、その配偶者が子どもの面倒を見る場合や親権者となった場合には、銀行員が支払うべき婚姻費用の金額や養育費の金額は、一般的な家庭よりも高額になります。
財産分与
これに加え、離婚時には、一般に財産分与が行われます。
財産分与とは、結婚期間中に形成された財産を、離婚時に夫婦で分配することを言います。
財産分与の対象として、不動産や預貯金が挙げられるのはもちろんですが、特に銀行員の場合には、株式投資や財形貯蓄などを行っている方も多く、これらについても財産分与の対象となるため、比較的高額になりやすいと言えます。
また、特に問題になりがちなのが退職金です。
銀行員の場合、退職金が支払われる可能性が高く、さらにその額も一般的に高額です。
まだ受け取ってもいない高額な退職金の一部を財産分与として支払うにあたって、1回で支払うことができない場合には、夫婦間で、分割払いの方法や支払い時期などについて交渉が発生することがあります。
このように、銀行員の方の財産分与は、他の職業の方に比べ、高額になりやすいため、それだけに揉めやすいところです。
慰謝料
夫婦の一方に有責行為(DV、モラハラ、不倫・浮気など)がある場合には、離婚時に慰謝料の請求が行われることが多いです。
有責行為があったかどうかが争いになる場合には、慰謝料を請求する側が証拠により有責行為の存在を証明する必要があります。
また、慰謝料の金額をめぐって揉めることも少なくありません。
親権・面会交流
夫婦間に子どもがいる場合には、離婚時に親権者を決める必要があります。
また、面会交流(親権者とならなかった側が子どもと会うなどして交流すること)についても、取り決めるのが通常です。
親権・面会交流をめぐる争いが発生することもあり、その争いは時として非常に深刻なものとなることがあります。
弁護士にご相談ください
以上のように、銀行員の離婚には問題となりやすい事項が多々あります。
お悩みの方は離婚問題に詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
当事務所では、これまでに、銀行員の離婚問題を数多く取り扱って参りました。
ぜひ一度、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。