事案内容:財産分与、慰謝料
依頼者:60代の男性(会社員)
相手方:50代の女性(会社員)
結婚歴:36年
1 夫婦の状況
依頼者は、妻と長年の別居生活を送っていたところ、妻との関係を清算するために、離婚を考えるようになりました。
妻は、依頼者が支払っている住宅ローンのある土地建物に住んでおり、離婚を進めるときにこの状況をいかに解消するべきか、依頼者は大変お困りのご様子でした。
2 相談・依頼のきっかけ
当事務所の弁護士は、ご相談に来られた依頼者に対し、離婚に向けた手続きの流れについてご説明いたしました。
そして、まずは離婚調停を試み、条件面で妻と合意できない場合には、速やかに離婚訴訟を提起する方針でご依頼いただくことになりました。
3 当事務所の活動
(1)離婚調停の経過
ご依頼後、当事務所の弁護士が速やかに離婚調停の申立てを行ったところ、妻側にも代理人弁護士がつきました。
妻側の弁護士は、妻が成人している難病の子を監護しており、その監護のために依頼者の経済的協力が不可欠であることから、離婚には応じられないと主張しました。
これに合わせて、明確な慰謝料請求は行われなかったものの、依頼者の有責性を主張してきました。
さらに、依頼者が住宅ローンを支払っている土地建物において、妻がその子と共に居住している事実が調停手続きの中で判明しました。
当事務所の弁護士は、子を監護している状況であっても法律上の未成熟子に該当せず、依頼者にとって有責的な事情はないことから、無条件での離婚が適切であると反論しました。
調停期日は5回開かれましたが、妻との話し合いは平行線となり、離婚調停は不成立となりました。
(2)離婚訴訟での経過
当事務所の弁護士は、離婚調停の不成立後、速やかに離婚訴訟を提起しました。
離婚訴訟においても、妻は離婚調停の時とほとんど同じ主張を維持し、さらに反訴(訴えられた側がカウンターとして提起する訴訟)で150万円の慰謝料請求と財産分与の請求を行ってきました。
これに対し、当事務所の弁護士は、子が法律上の未成熟子に該当しないことや、依頼者に有責性はないこと、長期間の別居状態そのものが婚姻関係の破たんを裏付けており、離婚請求が当然に認容されるべき事案であると主張しました。
そうしたところ、裁判所から、離婚請求を認める心証が開示されました。
もっとも、これまで依頼者が住宅ローンを支払っていた土地建物について、処理方針を決めずに離婚することは、依頼者にとって法律的・経済的な不安定さを残す結果となります。
この点について、当事務所の弁護士は、離婚調停の段階から依頼者と打ち合わせを詳細に行い、土地建物に関して問題を棚上げにして離婚を行うことは、依頼者の真意ではないことを確認しておりました。
ここに至り、当事務所の弁護士は、依頼者と改めて土地建物の処理方針について協議を行いました。
そして、協議の結果、和解離婚をする条件として、依頼者が住宅ローンの残債を全て一括返済した上で、銀行の抵当権を抹消登記してから、妻に財産分与する方針としました。
妻側としてもこの条件を受け入れ、抵当権抹消登記が終わってから、和解離婚をすることで妻側の承諾を得ました。
また、依頼者の有責性に基づく慰謝料の支払いはないという前提で話し合いが進みました。
4 当事務所が関与した結果
銀行による抵当権抹消登記手続き後、慰謝料の支払いはなく、土地建物の財産分与を行う内容で和解離婚が成立しました。
妻が居住している不動産について適切な形で解決を図る一方で、慰謝料ゼロで和解離婚を成立させ、長年の別居生活で実態がない夫婦関係を終わらせることができました。
5 解決のポイント(所感)
妻側が離婚拒否などの主張を繰り返す一方で、監護の必要な子と妻が居住している状況において、依頼者の正当な権利をどのようにして主張していくべきか、大変悩ましい事案でした。
ご依頼から和解離婚の成立まで約2年半の長期戦となりました。
この間、当事務所の弁護士は、依頼者と綿密にコミュニケーションを図り、妻側の主張に対して適切な反論を行うことにより、離婚を実現することができました。









