昨今、一部の問題があるお客様の相談態度に心を痛めております。
もちろん、大多数の良識あるお客様には、真摯に話し、聞くという姿勢で法律相談に臨んでいただいております。
一方で、非常に少数ながら、人の話を聞く時の態度があまりにもひどく、目に余るようなお客様が散見されるのも事実です。
例えば、弁護士からの説明・回答がご自身の意に添わなければ不機嫌になるとか、顔に半笑いのような表情を浮かべ、腕を組んで踏ん反り返りながら、食って掛かるような押し問答を挑んでくるなどの相談態度です。
これに対し、弁護士が「法的意見を真剣に回答しているのに、そのような態度をとるのはおかしいのではないですか?」、「こちらの話をそのように軽視するのであれば、弁護士に頼らずにご自身で全て判断・実行すればよいのではないですか?」などと諫めると、「分からないから聞いているのです!」などと逆上されるのはお決まりのパターンです。
ご自身の相談態度の問題を棚に上げながら、「弁護士の姿勢や仕草に問題がある」、「弁護士の話し方や態度が偉そうだ」などとクレームを付けてきたり、弁護士の言葉尻を論って文句を言ってきたりするケースも珍しくなく、呆れ果てて閉口するほかありません。
もちろん、法律のことは弁護士でなければ分からないことは承知しており、トラブルで精神的に追い詰められている心中はお察しいたしますが、傲慢・不遜な相談態度を正当化する理由とはなり得ません。
また、弁護士に食って掛かるような押し問答を挑むが如き相談態度について言えば、そもそも法律相談とはそのような押し問答の場ではなく、弁護士の使い道を間違っていると言わざるを得ません。
「分からないから聞いているのです!」というのであれば、弁護士の話に素直・謙虚に耳を傾ければよいのです。
素直・謙虚というのは、当然ながら、弁護士を「先生、先生」とおだててペコペコするという意味ではありません。
今はもう、そのような時代ではありません。
素直・謙虚というのは、虚心坦懐に人の話を聞く耳を持つということです。
はっきり申しまして、弁護士は法律に従ってこうだと思うことしか言えないのであり、お客様を喜ばせるためにそれを曲げてお答えすることはできません。
弁護士がお客様に対して嘘を伝え、お客様が損害を被れば責任問題になるからです。
弁護士はホストやカウンセラーではなく、お客様の意に沿わないであろうこともオブラートに包まずにはっきりとお伝えするのが職責です。
そして、お客様の全てが弁護士の答えを素直に受け入れるとは限らないことは承知しており、弁護士としては真実と考えることをお伝えすることさえできれば、必ずしも納得いただく必要まではないと考えております。
ここで、もし弁護士の答えが納得できなかったとしても、「気持ち的には納得できませんが、法律ではそうなっているのですね・・・」と気落ちするだけで終わらせればよく、どうしても諦められないのであれば、他の弁護士にセカンドオピニオンを求めることもできます。
弁護士は基本的に「自分の考えが絶対」という了見ではおらず、むしろ「もし納得できなければ、他の弁護士にご相談いただいても構いませんよ?」と考えているのが通常なのです。
問題は、それが弁えのある大人の相談態度であるのに、上記のような傲慢・不遜な反発の態度をむき出しにしてしまう幼稚さにあるのです。
人として最低限備わるべき実直な精神の欠如は、見ていて情けなくなります。
素直さ・謙虚さに欠ける一方で、批判根性だけがご立派というのは感心しません。
このような非常識な相談態度の原因が親の躾の懈怠にあるのか、生来の性格上の問題であるのかは定かではありませんが、一体全体、過去の学校生活、現在そして将来の私生活・社会生活において、人の話を聞く際にどのような態度で臨んでいるのかと、老婆心ながら危惧を覚えざるを得ません。
私とて、昨今は業界を問わず世の中にクレームが増加していることを把握しており、親切・丁寧な対応を心掛けることにより、数多くのお客様と信頼関係を構築してきた自負があります。
参考までに、「お客様からのお手紙」をご覧いただければと存じます。
しかし、そのような努力にもかかわらず、ごく一部のお客様とは信頼関係の構築が困難なことがあり、それはやはり、特定属性のお客様の側の相談態度に原因があると言わざるを得ないのでしょう。
世の中のことをよく観察しておりますと、文句やクレームに関しては注目すべき法則があることが分かります。
それは、そのような文句やクレームを入れる人に、一廉の人物がいた試しがないということです。
一廉の人物とは、社会的地位・収入・資産・学歴などの基準で申し上げているわけではありません。
ここでは、その種の浅薄な差別を申し上げるつもりは、毛頭ありません。
世の中に真っ当な人とそうではない人がいるとして、怒る・威張る・文句を言うのはどちらの側なのか?ということです。
離婚の話に寄せると、例えば、弁護士から「子どもの親権を取るのが困難な可能性がある」と聞かされ、その答えが気に入らず感情的になって怒り出すような短気な男性がいたとして、そのように人の話を安定した情緒で聞けない気質は、果たして我が子を導く親として相応しい姿なのでしょうか?
困難な見通しを真摯に受け止めながら、弁護士との信頼関係のもとに誠実に手続に臨む理性的な姿勢にこそ、一縷の望みがあるのではないでしょうか?
そのような理性あるお客様に対してこそ、弁護士として力を尽くす甲斐があるというものです。
当事務所では、そのような男性をしっかりとサポートし、子どもの親権を勝ち取った実績が複数ございます。
そして、もう一点言えることは、怒る・威張る・文句を言う側の人は、今後の私生活・社会生活においても、その行く末は明るくないものと推察せざるを得ないでしょう。
果たしてうるさ型が人望を集めることがあるのでしょうか?ということです。
当事務所では、親切・丁寧な仕事を心掛け、親身になってお客様と向き合うことを業務における信条としております。
ただし、それは、お客様においても、弁護士と真摯に向き合ってくださることが前提となります。
上記の例のような傲慢・不遜な相談態度で臨まれると、弁護士もそれ相応の対応とならざるを得ないのは当然のことです。
言うなれば「心のドレスコード」です。
当事務所では、これまでに、地域の皆様から多数のご相談・ご依頼をお受けし、離婚問題を解決に導いてきた実績が豊富にございます。
「お客様からのお手紙」に代表されるような感謝のお声も多数頂戴しており、良識あるお客様に対して親切・親身・丁寧に向き合ってきたことには自負がございます。
当事務所を信頼し、真摯に向き合ってくださるお客様あっての当事務所であり、感謝の念に堪えません。
しかし、昨今、ごく少数ながら、当事務所では持て余すようなお客様が目に付く状況もあり、離婚・男女問題に関連するご相談において、その傾向が比較的強く見られるように感じております。
このような状況を憂慮しながら、近時の業務の所感として、本コラムを執筆いたしました。
当事務所では、地域の皆様の法的ニーズに幅広く対応させていただいており、年齢・性別・職業等の分け隔てなく、広くご相談・ご依頼を承っております(ただし、反社関係者からのご相談・ご依頼は、全てお断りしております)。
ただし、弁護士がお客様との信頼関係を構築し、問題解決に導くという当事務所の責務を全うするためには、その妨げとなり得る要素を少しでも減らすべく、上記のようなお客様の「心のドレスコード」を設ける必要があるのではなかろうかと、近時は切に感じている次第です。
(弁護士・木村哲也)