前回のコラムでは、「録音した音声は訴訟(裁判)で証拠として使えるか?」というテーマで、会話や電話の録音は、盗聴や暴力・脅迫などを用いて得たものでなければ、訴訟で証拠として使えるということをご説明させていただきました。

会話などの当事者が相手方に無断で録音することを「秘密録音」と言いますが、暴力・脅迫などを用いるのでなければ、特に問題はないのです。

さて、不倫・浮気のケースですと、配偶者や不倫・浮気相手との会話などを秘密録音し、会話などの中で不倫・浮気の事実を認めさせて、証拠として確保することが考えられます。
確かに、この秘密録音に成功すれば、非常に強力な証拠となることでしょう。

そこで、このような秘密録音を試みる場合に、押さえていただきたいポイントをご紹介します。
まずは、録音する会話などの中に、肉体関係があった事実を認めさせる内容を含めることです。
これは当然のことです。

そして、肉体関係があった時点で、不倫・浮気相手が既婚の事実を知っていたことを示す内容を含めることも重要です。
これは、不倫・浮気相手に対する慰謝料請求が認められるためには、肉体関係があった時点で不倫・浮気相手が既婚の事実を知っていたこと、あるいは注意すれば既婚の事実を知り得たと言えることが必要であるからです。
すなわち、不倫・浮気相手が「彼が既婚者だなんて、夢にも思いませんでした」と主張し、これを覆せないと、不倫・浮気相手に対して慰謝料を請求することができないのです。
はじめのうちは既婚の事実を知っていたと認めながら、後々になって知らなかったと言い始めることも想定されますので、注意が必要です。

そこで、配偶者との会話などにおいては「彼女と肉体関係を持つ前に、結婚していることは彼女に言っていたんだよね?」「うん」、不倫・浮気相手との会話などにおいては「主人と肉体関係を持つ前から、主人が既婚者だと知っていたんですよね?」「はい」などのやり取りをして、しっかり録音しておくのです。

このように、ポイントを押さえた隙のない証拠収集をすることが大切です。

(弁護士・木村哲也)

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