面会交流の重要性

別居する子どもと会うことができず、お困りの方はいらっしゃいませんか?

夫婦が別居した時や離婚した時に、子どもと離れて暮らしている親が、子どもと会って話をしたり、遊んだり、電話やメールをしたりして交流することを「面会交流」と言います。

別居や離婚は、夫婦としての別れではありますが、親子の別れではありません。
子どもの成長にとって、親の愛情は非常に重要なもので、十分に愛された子どもは、自分のことを肯定する力、周囲の人たちを信頼できる力を身に付けることができると言われています。
そのため、夫婦の別れによって、それまで100あった親の愛情が、50になってしまっては、子どもに成長に悪影響を与えることは明らかです。
面会交流によって、子どもが離れて暮らしている親の愛情を感じることができるのであり、子どもの成長にとって、面会交流はとても重要なものなのです。

また、夫婦の別れによって、子どもの環境が大きく変化してしまいます。
住居や学校などの環境ほか、離れて暮らす親や祖父母、友人からの愛情など、様々な周辺の環境が大きく変化してしまうため、子どもの心や身体に大きな影響を及ぼしてしまいます。
それでも、双方の親からの愛情が別居または離婚の前後で変わらずに注がれていることで、環境の変化にともなう不安感や喪失感などを少しでも軽減することができるのであり、そのためにも面会交流は必要なのです。

なお、「離婚後、父親と定期的に交流して、父母双方と良い関係を維持していた子どもは、そうでない子どもと比較して、自我機能が良好であり、自己評価が高く、離婚を原因とする抑うつ状態に陥ることがなかった」といった調査結果も報告されているところです。

面会交流に関する親同士の対立について

このように、面会交流は、子どもの成長にとって、とても重要なものです。
別居または離婚した後も、双方の親が、この気持ちを共有して協力し合っていれば、面会交流を行うことについて、特に対立することはないでしょう。

しかし、現実には、子どもの面会交流について、親同士が激しく対立することが多いです。

面会交流が子どもの成長にとってプラスになる(逆にいえば、面会交流をさせないことがマイナスになる)ことは頭では分かっていても、嫌いになって別れた相手方に子どもを会わせたくないという感情が先行してしまう場合や、別居後の離婚前であれば、互いに親権を主張している中で、子どもの連れ去りを心配して、面会交流をさせないということがあります。

また、離婚後に親権者となって監護養育している妻が「たまに会って甘やかして高価なおもちゃを買ったりするから、普段自分が厳しくしつけている意味がなくなる」と言って会わせなかったり、逆に離れて暮らしている夫としては「たましか会えないのだから、たくさん愛情を注ぎたい。
会って何をしようが自由なはずだ」などと反論したりして、互いに不満が積み重なって、対立が激しくなってしまうということもあります。

面会交流で親同士が対立した時の対処法

①当事者での話し合い

面会交流は、子どもの成長にとって重要なものですから、面会交流を実施することで子どもにとってマイナスとなるおそれ(子どもに暴力を振るうおそれ、嫌がる子どもを無理やり連れ去るおそれなど)がない限りは、子どもと一緒に暮らしている親は、他方の親に会わせる方向で考えることが良いでしょう。

また、面会交流は、子どもの成長にとって重要であるとともに、親の権利、子どもの権利でもありますから、特に理由もないのに面会交流を拒否し続けると、親権者を判断するうえで不利に考慮されたり、慰謝料を請求されたりするおそれもありますので、その点も注意が必要です。

面会交流で対立するのではなく、双方の親が、子どもの成長を第一に考えて、面会交流の取り決めをして、実施に向けて協力できれば、それが何より子どもにとって一番良いことです。

②家庭裁判所の手続を利用する

親同士だけで話し合いで解決できない場合、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てることができます。
調停も話し合いではありますが、調停委員が第三者的な立場で、双方の意見を聞いて調整していきます。

調停での話し合いでも決着がつかなければ、調停は不成立となり、手続は審判に移行します。
審判では、裁判官が面会交流の実施の可否について判断をします。

面会交流は、子どもの成長にとって重要であるとともに、親の権利、子どもの権利でもありますから、裁判所の手続きでは、面会交流を実施することで子どもにとって明らかにマイナスとなる恐れ(子どもに暴力を振るう恐れなど)がない限り、面会交流をさせる方向で調整されます。

面会交流の実施に不安が残る場合には、まずは裁判所内で短時間の面会交流を実施してみて様子を見る(これを「試行的面会交流」と言います)ということも行われます。
いずれにしても、基本的には面会交流を実施する方向で調整されるわけです。

③家庭裁判所の手続で面会交流が決まったのに実施されないとき

面会交流の調停や審判で面会交流を実施することが決まったのに、子どもと暮らす親が拒否して面会交流が実施されない場合には、家庭裁判所に「履行の勧告」(実施するようにとの通知)を求めることができます。
正当な理由がなく、実施がされていないと判断された場合には、履行の勧告がされます。

家庭裁判所が履行の勧告をしても、正当な理由がなく実施されない場合には、調停や調書の内容によっては、強制執行という手続をとることができます。
この手続は「間接強制」と呼ばれる方法で行われ、決められた面会交流を実施しなければ、一定の金額を支払わなければならないとされます。
これによって、一定の金額の支払を避けるために面会交流を実施することを間接的に強制しようというものです。

この間接強制は、面会交流の違約金という位置づけができますので、面会交流の実施を確保するための強いカードとなります。
なお、間接強制が認められるためには、審判の文言が重要となります。
「面会交流の日時または頻度、各回の面会交流の時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められている」ときには間接強制の決定をすることができると、裁判所が認めています。

さらに、民法が改正されて面会交流が明文化され(平成24年4月1日施行)、面会交流の義務が法律に明文化されたことで、面会交流の拒否によって親権者変更を認める裁判所も出てきましたので、面会交流を正当な理由なく拒否することは、子どもと一緒に暮らしている親にとってリスクがあると言うこともできます。

面会交流を実施する時の注意点

面会交流を行う日時、場所、方法などの具体的な実施方法については、子ども生活を第一に考えることは言うまでもありませんが、親同士、お互いの事情にも配慮するべきです。

数回は順調に面会交流を実施できていたのに、一方が日程について自分の都合を押し付けた結果、親同士の信頼関係が悪化して、実施できなくなったということも少なくありません。

なお、面会交流を実施すること自体はお互いに合意しているけれども、その実施方法について当事者の話し合いでは調整がつかなくなってしまったという場合でも、家庭裁判所の手続を利用することができます。

面会交流でお困りの方へ

「当初の約束に反して、子どもに会わせてもらえない」
「親権をいつまでも争って子どもを不安定なままにすることは良くないと思って、親権を譲ったばかりに、子どもと会えなくなってしまった」
「離婚して離れて暮らすことになっても、定期的に子どもと会って見守っていきたい」

面会交流は、子どもの成長にとって重要であるとともに、親の権利、子どもの権利でもありますから、裁判実務でも、基本的には実施する方向で調整されています。
面会交流でお困りの方は、一人で悩まずに、是非一度、当事務所にご相談ください。
子どもとの面会交流が実現できるように、サポートさせていただきます。