モラハラとは

モラハラとは「モラルハラスメント」の略称であり、「暴力を伴わない、言葉や行動、態度による精神的いじめ」、「精神的暴力、精神的虐待」のことを指す言葉です。
最近では、世間一般にも認識が広まっており、モラハラという言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
一言にモラハラと言っても様々な態様のものがありますが、具体的に次のような言動がモラハラに当たるものと考えられます。

(モラハラの具体例)
●人格を否定するような言葉で貶める。例えば、「最低」、「馬鹿」、「生きる価値がない」などの言葉を浴びせる。
●些細なミスを責め立てる。例えば、「そんなこともできないのか!」と責めたり、長時間の説教をしたりする。
●相手方に対して家計簿をつけさせ、一つ一つの支出について、細かくチェックする。常識的には問題がないと思われる支出についても、「誰の金だと思っているんだ!」、「無駄遣いをするな!」と注意する。
●風邪をひいて寝込んでいる相手方に対して、家事や夕食の準備をするように強要する。例えば、「どうして俺の飯を用意していないんだ!」、「大したことないだろう!」と怒鳴ったりする。
●友人同士の懇親会や同窓会などのイベントに参加することを阻止しようとする。例えば、「家事を放り出すのか!」、「誰が飯を作るんだ!」と怒鳴ったりする。
●一つ一つの些細な行動について許可を取るように強要したり、行動を制限しようとしたりする。
●会話をしている途中で急に不機嫌になったり、大きな声で怒鳴ったり、理由もなく無視をしたりする。また、物を叩いたり壊したりして威嚇する。

モラハラの特徴

全てのケースに当てはまるわけではありませんが、モラハラには次のような特徴があることが多いです。

①モラハラをする側には、モラハラの自覚がない

モラハラをする人は、自分がモラハラをしているという自覚がないことが多く、自分は悪くないと信じて疑わないことも多いです。
「相手が悪い。」、「しつけをして何が悪いのか?」と認識し、まるで自分が被害者であるとさえ思っているケースもあります。
そのため、仮にモラハラを指摘されたとしても、自分の非を認めることはまずありません。
また、分が悪くなると、「原因を作った相手が悪い」などと責任転嫁をしたり、「そんなに責めなくてもいいだろ!」などと開き直ったり、「誰の金で飯が食えると思っているんだ!」などと関係のない話を始めて話のすり替えをすることも多いです。

②モラハラを受けている側も、モラハラを受けているという自覚がない

モラハラを受けている側も、自分がモラハラを受けているという自覚がないことが多いです。
日々モラハラを受ける中で、そのような言動が普通のことであると勘違いをしたり、「自分の方が悪かったのだから仕方ない」と勘違いをしたりするケースが多いです。
そのような場合、テレビや雑誌などで自分と似た境遇の人の話を見聞きしたり、友人からの指摘を受けたりして、「ひょっとしたら自分はモラハラを受けているのではないか?」と気付くことが多いようです。

③モラハラは周囲からは分かりづらい

モラハラをする人は、プライドが高く、自己顕示欲が強いことが多いです。
そのため、家庭の外では、優しく礼儀正しく振舞っており、世間一般からは、「優秀な人」、「優しそうな人」という評価を受けていることが多いです。
そうすると、友人にモラハラのことを相談したとしても、「そういうことをする人には見えない」と言われてしまい、中々事情を理解してもらえないこともあり得ます。
そうなると、「やっぱり自分が悪いのか」と思い込んでしまい、ますますモラハラの被害から抜け出すことが難しくなってしまいます。

モラハラと離婚

モラハラの被害を受けている場合、モラハラを理由として、離婚することはできるのでしょうか。

まず、モラハラをする人はモラハラをしているという自覚がないことが多いため、離婚を切り出したとしても、「何をバカなことを言っているんだ」などと言われ、離婚を了承しないことも多いです。
そのような場合には、調停や裁判を通して、離婚を求めていくことになります。

裁判になれば、法律上の離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在すると認められれば、離婚が認められます。
そのため、例えば、度が過ぎたモラハラが存在し、そのために精神疾患に罹ったという場合には、離婚が認められることもあり得ます。
もっとも、そのようなケースは多くはありません。
また、裁判の場合には、証拠により、離婚が認められる程に強いモラハラが存在することを立証する必要がありますが、家庭内での出来事であるために証拠がないというケースも多く、そのハードルは高いものと考えられます。

一方で、以下で説明するように、まずは別居という形をとった上で離婚の手続を進めていくことが考えられますので、悲観的になってはいけません。

モラハラへの対応

モラハラ被害を受けていると分かった場合、どのように対応すればいいのでしょうか。

モラハラを受けながら生活を続けていくということは、常に気を張りながら精神をすり減らして生活しているようなものです。
また、モラハラを受けているうちに、モラハラ相手の要求が次第にエスカレートしていき、より被害が深刻なものとなってしまうこともあります。
そのため、モラハラ被害に遭われた場合には、一刻も早く、モラハラ相手から離れること、すなわち、別居をすることが非常に有効と考えられます。
別居によって、モラハラ被害を受けることもなくなり、みるみる元気を取り戻していく方も多いです。
また、別居が継続していれば、その分、法律上の離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」を裏付けることにもなりますので、裁判になった場合に、離婚を認めてもらえる可能性も高まります。
そして、別居状態となることで、離婚に向けた協議や調停がスムーズに進められる状態となることも多いです。

そのため、モラハラ被害を受けている場合には、別居に向けた準備を進め、別居を始めることが、有効であると考えられます。

モラルハラスメント(モラハラ)による離婚の解決事例はこちら

モラルハラスメント

モラルハラスメント(モラハラ)についてはこちらもご覧ください

●モラハラの被害による離婚について
●モラハラとは
●モラハラで離婚できるか
●モラハラで慰謝料請求できるか
●モラハラの証拠について
●モラハラ被害者が別居をする際のポイント
●モラハラ被害による離婚の手続を進める際のポイント
●モラハラ被害による離婚で弁護士に相談・依頼すべき理由とタイミング